9月14日(土)放送のTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING 防災特別番組 わたしと家族の守りかた」(17:00~17:55)。「家族間の防災意識のギャップ」「防災グッズを実際に使った時のギャップ」「正しい情報とデマのギャップ」の3つのギャップをテーマに、“自分自身と家族の守り方”について考えます。パーソナリティはモデル・タレントとして活躍するユージとフリーアナウンサーの吉田明世が担当。
(左から)パーソナリティのユージ、吉田明世
◆停電経験者は防災への意識が高まる
8月8日、南海トラフ巨大地震への注意を呼びかける「臨時情報」をきっかけに、改めて災害への備えや災害が起きた際の対応を見つめ直すこととなりました。また、地震だけではなく、先日の大型台風は各地で大雨となり、道路の冠水や河川増水・氾濫、土砂災害などの被害をもたらしました。
実際に、南海トラフ巨大地震などの大きな災害が起きたとき、自分自身だけでなく、家族を守るためにはどうすればいいのでしょうか。今回は、「防災のギャップ」というテーマで考えていきます。1つめは「家族間の防災意識のギャップ」について。
パナソニックは2021年、2022年に続き、「防災に関する意識調査2024」を実施。パナソニックが運営するWEBマガジン「UP LIFE」に調査結果を公開しましたが、「防災意識のギャップ」が浮き彫りになっています。
・停電経験の有無で「自然災害への備え」への意識が変わる
停電経験者は「災害への備えが必要だと思う」が90.4パーセントだったのに対して、停電未経験者は80.0パーセントでした。停電の経験の有無によって防災意識のギャップが10.4ポイントもありました。
・50代・60代の「理想と現実のギャップ」
50代・60代のおよそ9割が備えの必要性を感じていますが、実際に自然災害の対策ができていると感じている50代・60代は3割以下でした。
・世代間別の「自然災害への不安」
男性20代は、自然災害への「不安を感じる」は46.5パーセント、女性60代は67.5パーセントでした。つまり、世代間の不安を感じるギャップは21パーセントとなります。
◆防災グッズの“使い方”を事前に確認しよう
番組では、ゲストに国際災害レスキューナースの辻直美さんを招き、「家族間の防災意識のギャップ」について詳しく伺いました。
辻さんは看護師として働くなかで、阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。現在はフリーランスのナースとして国内での講演や、病院、企業、行政にむけて防災教育をメインに活動しています。
「防災に関する意識調査2024」の結果を受け、辻さんはまず停電に対するイメージのギャップを指摘。「みなさん、ブラックアウト(全域停電)の本当の怖さを知らないと思います。真っ暗になったときは、本当に懐中電灯のスイッチさえ押せません」と説明します。
災害によって周囲が真っ暗になると、たとえ自宅のなかであっても照明を見つけることは困難です。辻さんはブラックアウトへの備えとして、暗所(トイレなど)に懐中電灯を設置し、探し出して点灯するという練習で、使い方に慣れておくことを提案しました。
続けて辻さんは、災害が心配でありながらも、備えには至らないケースについても分析。「物をわざわざ買うのも面倒くさいし、お金もかかります。本当に必要なものが何かわからないので、備えが後回しになっているような気がします」と話します。
一方で、防災情報を取り入れた結果、最新の防災グッズをたくさん買う人も少なくありません。「私は、物を買うことよりも、物を使うスキルを備蓄してほしいと思っています」と辻さんは訴えます。買って満足するのではなく、使用法や使用期限について意識を向けてほしいとも呼びかけました。被災の現状は、平常時にイメージするような内容と大きく異なってきます。想像と事実とのギャップを知ることで、防災への意識をより高めることができます。
国際災害レスキューナースの辻直美さん
◆自宅の防災グッズは適切か?
防災のギャップ、2つ目は「防災グッズを実際に使った時のギャップ」です。今回は、ユージと吉田がそれぞれの「自宅の主な災害の備え」を番組で発表。辻さんからアドバイスを伺いました。
<ユージの防災備蓄>
・水
天然水3ガロン×4、温泉水11リッター×5の合計102リッター
・食料
カップ麺10個、レトルトのカレー15個、パックごはん20個。その他、子どもたちが日常的に食べるお菓子を大量にストック。
水を防災備蓄として用意するときは、「1人あたり1日3リットル」が必要と言われており、内訳は2リットルが飲用・調理用、1リットルが生活用水です。3リットルはあくまでも最低ラインであり、水の備えを増やすことは災害時における生活水準を高めることに直結します。
水の備えに対しては十分だと評価を下した辻さんでしたが、ユージの食料の備蓄において、普段から食べるものを取り入れたほうがいいとアドバイス。「災害時に食べるものはもう少し豊かで楽しいものでもいいと思います。我慢をしたり質素なものだと(体力的にも気力的にも)頑張れません。私だったらパスタソースを用意しますし、普段から調味料として活用もしています」とコメントします。
食の備えにおいて重要なのは、備蓄食への慣れの意識です。普段から食べ慣れている食品を多めに保存し、消費したら買い足して常に一定量の食料を家に備蓄する「ローリングストック」を活用することで、普段の食事が災害食となります。
<吉田の防災備蓄>
・水
ペットボトル2リットル10本分
・食料
保存食(米、お菓子など)
・その他
簡易トイレ、簡便エアーマット、簡易保温シート、笛、ウェットティッシュ、手動で回す懐中電灯ラジオ
4人家族の吉田にとって、水の備えは心もとない結果となりました。ユージも吉田も水の保管場所は1ヵ所でしたが、辻さんは災害による倒壊から、水の保管場所にたどり着けない可能性を挙げ、置き場を分散するように進言します。また、水のサイズも用途に応じて変えることを推奨し、「2リットルは飲料水と調理用、1リットルや500ミリは手洗いとかアンダーゾーンを洗ったりするときに役立ちます。大きいサイズだと多めに使ってしまって、足りなくなる可能性もあります」とコメントしました。
簡易トイレは災害時に活躍しますが、あらかじめ使用法を理解していないとうまく扱えない場合があります。「特に子どもさんたちは使ったことがないと、トイレができない可能性もあるので一度は使ってみてください」と辻さんは発言しました。
次に、笛は居場所を知らせるために有効なツールですが、ホイッスルの場合、吹く際に肺活量が求められるため注意が必要です。また、ホイッスルは警察・消防・自衛隊が交通整理で用いるため、SOSのサインだと気付かれない可能性もあります。「ぜひ、防災笛をご用意していただきたいです。ねじるとメモを入れることができて防水にもなっているので、自分の意識がなくなったり喋れる状態じゃないときでも、笛を開ければ(メモに記載されている)緊急連絡先や名前、血液型などが把握できます。笛は引き出しにしまっておくのではなく、普段から身につけていてほしいです」と辻さんはコメント。
また、防災グッズをまとめて携帯できる「防災リュック」は必ず用意しましょう。「在宅避難をする方はいらないと思っていらっしゃる方もいますが、災害が起こると家のなか全部がぐちゃぐちゃになります。防災リュックを用意して、その中身の備蓄品で生き延びていただきたいです」と呼びかけました。
▼詳しい情報は、パナソニックのウェブマガジン「UP LIFE」公式サイトをご確認ください
「防災に関する意識調査2024」から読み解く 意識ギャップに⾒出す防災対策術vol.1
「防災に関する意識調査2024」から読み解く 意識ギャップに⾒出す防災対策術vol.2
<親世代のための防災編>
放送の内容は、
音声プラットフォーム「AuDee」でも聞くことができます。ぜひアクセスしてください。
番組名:ONE MORNING 防災特別番組 わたしと家族の守りかた
放送日時:2024年9月14日(土)17:00-17:55
放送局:TOKYO FM他JFN38局ネット
パーソナリティ:ユージ・吉田明世