モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。2026年1月15日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「世界初! 海底から採掘する国産レアアース始動! 実用化への道筋は?」。情報社会学が専門の学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんに解説していただきました。
(※放送当時の内容です)
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
◆EVや医療機器の製造に欠かせない「レアアース」とは?
吉田:電気自動車や医療機器などの製造に欠かせない「レアアース」。世界のレアアースの生産量の多くを中国が占めるなか、日本が国産のレアアースの実用化に向けて世界初の試みを進めています。
ユージ:塚越さん、改めて「レアアース」について教えてください。身近なところにもあるって、よく聞きますよね?
塚越:最近よく耳にする「レアアース」とは、鉱物に含まれている金属のことで、そのうちの特に重要な17種類の元素をまとめた総称です。そのレアアースは、スマホやEV、ドローンや半導体製造装置といった先端技術に使われているほか、防衛分野ですと戦闘機、医療分野ではMRIの検査装置や、あるいはLED照明なども含め、幅広く使われています。
中国の世界シェアが高いわけですが、報道があった通り、中国政府は先日、軍事にも使えるデュアルユース(軍民両用品)用のレアアースの輸出については管理を強化すると発表しています。民間用のものがどうなるかはまだわかりませんが、先行きが不透明ということで不安感が出ています。
そうしたなかで、先日のG7の会合では、レアアースの中国依存を低減するために、資源国と供給網の多様化で連携する動きが出ています。つまり、レアアースは経済安全保障の問題なので、中国の依存度を下げて、供給の多様化や国産化も視野に入れるということですね。
◆日本の海底に「レアアース」が眠っていた!
ユージ:そこで、日本の「国産レアアース」が注目されているんですね?
塚越:そうなんです。実は東京大学や早稲田大学の研究チームが2010年代に入っていろいろと調査した結果、小笠原諸島の南東にある「南鳥島沖」の海底にレアアースを多く含んだ泥があることを突き止めたんですね。しかも、これが世界のレアアース需要を数十年から数百年を賄う規模のものという、すごいことなんですよね。
ユージ:レアアースがそこに“ある”ということはわかったんですね?
塚越:そうなんです。ということで、1月12日に、国立の研究機関である「海洋研究開発機構(JAMSTEC)」の地球深部探査船「ちきゅう」が、内閣府のプログラムの一環で出発しました。日本の排他的経済水域の水深およそ6,000メートルからレアアース泥を回収するということで、南鳥島沖ではすでに6種類以上のレアアースを高濃度で含む泥が見つかっていて、今回は実証実験に向けて装置の動作確認などをするということです。
吉田:今回の採掘が成功すると、「国産レアアース」を取り巻く環境はどうなっていくんでしょうか?
塚越:今回の実験が成功すれば、来年の2027年の2月以降、この海域で1日あたり350トンの採取ができるかどうかといった試験に進む予定です。また、レアアースを泥から分離して精錬するための工程やコスト計算も進めます。全体としては、2030年代の商業化を目指して施設の整備なども進めるということですね。
ユージ:これは世界初のチャレンジですよね。6,000メートルの深さ、さらにプラスアルファを含め、「2030年を目安に」って、あと4年ですよね? あっという間じゃないですか!
塚越:4年後と考えるとかなり早いなと思いますけど、実際に2030年代の商業化がどこまで実現可能なのかはまた別の話ですし、目下の日中間のレアアース問題はすぐに解消できないので、それは覚えておくべきかなと思いますね。
◆「手段が増えるのは望ましい」
ユージ:塚越さんは、「国産レアアース」についてどうお考えですか?
塚越:実は世界のレアアース埋蔵量だけでいえば、中国の埋蔵量は半分程度なんですね。しかし、レアアースを鉱物から取り出すために精錬すると、放射性物質を含めた有害な元素が出てきてしまいます。そのため、精錬後の廃棄物の処理が必要で、これに大きな環境負荷がかかります。
精錬そのものは中国以外でもできるのですが、環境規制(の基準)が高い欧米はやりたがらず、結局、中国が続けた結果、精錬量でいうと中国の世界シェアは9割となっています。そのため、レアアース分野では中国が強いという状況になっています。見方によっては、世界各国が自国への環境負荷を減らす代わりに、中国に頼ってきてしまったという部分もあるかと思います。だからといって、外交の武器に使っていいかどうかというのはありますけれども……。
その点でいうと、今回発見されたレアアース泥には、そうした放射性物質がかなり少ないということです。これは、日本産のレアアースを世界へ輸出することも視野に入れられると思います。そもそも、レアアースは日本の産業にとって非常に重要ですし、国産化は望ましいです。中国が交渉カードとしてレアアースの輸出規制を使ってくることもあるので、日本としては手段が増えるのは望ましいですよね。
ただし、6,000メートル下から採取するとなると、生態系への影響もありますし、コストもかかります。だから、そのコストを下げて、中国との競争力があるものを作れるのかというところが焦点になるかと思います。
個人的には、南鳥島を含む小笠原諸島は日本の南東にあるため、尖閣諸島などと違って他国と揉めにくい場所かなと思うんですよね。日本が集中して作業できるところにありますし、いずれにせよ、明るいニュースなので頑張ってほしいですよね!
ユージ:そうですよね。うまくいってほしいと思います!
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組公式X:
@ONEMORNING_1