杉浦太陽と松井玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
8月23日(日)の放送テーマは、「『うちの子に限って』では守れない ~いじめ させない 見逃さない~」。法務省 人権擁護局の今井美智子(いまい・みちこ)さんから、いじめを見逃さないために大切なアクションや、いじめに関する相談窓口について伺いました。
(左から)松井玲奈、今井美智子さん、杉浦太陽
◆ささいな出来事が深刻ないじめに
文部科学省が2025年10月に公表した調査結果によると、2024年度に小学校、中学校、高等学校、特別支援学校で認知されたいじめの件数は約76万9,000件にのぼり、過去最多となっています。なお、そのうち約76%は年度内に解消しているそうです。
いじめはどのようなきっかけで発展してしまうか分かりません。今井さんによると、法務省の人権擁護機関に寄せられた相談のなかには「合唱コンクールのピアノの伴奏を断った」「転校してすぐ部活のリーダーと仲良くなった」といったケースもあったそうです。
また、近年のいじめは「叩く、物を隠す、無視する」といった目に見える行為だけでなく、SNSやグループチャットで悪口を書き込むなど、大人の目が届きにくい場所で起きているケースも増えています。今井さんは「『グループチャット内での返信が遅かった』や、SNSで『中学のサッカー部が弱い』と軽い気持ちで書き込んだことが広まり、いじめにつながったケースもありました。SNSの場合、そうした書き込みがあっという間に広がり、多くの人を巻き込んで被害者を追い込む“深刻ないじめ”へとエスカレートすることも珍しくありません」と話します。
そして、いじめは当事者だけの問題でもありません。直接いじめていなくても行為を面白がって見ていたり、はやしたてたり、見て見ぬふりをしたりするのも、いじめに加担する行為にほかなりません。いじめの問題は誰にでも関係することなのです。
◆「人権教室」で人権を身近に学ぶ
一方、今井さんは「暴力を伴わない、からかうようないじめの場合、いじめを受けた子どもは深く傷ついているのに、いじめていた側は『ただの冗談だった』『みんなでふざけていただけ』『いじっただけ』と相手を傷つけた自覚を持っていない人も少なくありません」と話します。
子ども同士が意見の違いからぶつかったり、けんかをしたりすることは、成長の過程において決して珍しいことではありません。しかし、それが相手の心や人権を傷つける行為にまで及べば、単なる子ども同士のトラブルでは済まされません。
いじめによって学校生活が苦しいものになれば、友人とのふれあいを通じて成長する機会が奪われます。さらに、不登校になってしまえば教育を受ける機会まで妨げられることになります。いじめの芽を未然に防ぐために、今井さんは「相手の人権を傷つけないように相手の立場になって考えること。そして、相手の痛みに気づこうとすることが何よりも大切で、そうした気持ちを子どもの頃から育んでいくことが必要なんです」と力を込めます。
こうした問題を防ぐため、法務省の人権擁護機関では、地域で人権相談や啓発活動をおこなっている人権擁護委員という民間ボランティアの方々を中心に、学校を訪問して「人権教室」を開催しています。さらに、マンガを通じて人権について学べる冊子の配布や動画コンテンツを配信するなど、子どもたちに人権を身近に感じられるような取り組みもおこなわれています。マンガや動画は、
法務省のWebサイト
で観ることができます。
◆子どもの小さな変化に気づくために
SNSなどを使って子ども同士がやりとりする機会が増えたいま、いじめやトラブルの兆候は、以前よりもさらに見えにくくなっています。また、もし我が子がいじめを受けていたとしても、「親を心配させたくない」「話しても何も変わらない」と考え、「つらい」と打ち明けないまま1人で抱え込んでしまう子どもも少なくありません。
今井さんは、大人がいじめを見過ごさないために必要なこととして、普段から学校であったことを自然に話せる関係を子どもと築くことが大切とし、「そうすると、『最近、部活の話をしなくなったな……何かあったのかな?』といった小さな変化から、子どもが困っていること、いじめなどの問題に気づきやすくなります」と話します。
そして、実際に子どもが学校で嫌な思いをしていたり、いじめを受けていたりすることが分かった場合は、まず本人の話をしっかり聞いたうえで、家庭だけで抱え込まず担任の先生など学校にも相談することが必要です。
「いじめは、子どもだけで解決することが難しいケースも少なくありません。特に周りの子たちが見て見ぬふりをしてしまう状況になると、被害を受けている子どもは、ますます声を上げにくくなってしまいます。だからこそ、家庭と学校が情報を共有し、大人が責任を持って関わることが重要です」と力を込めます。
◆電話やLINEで相談できる「こどもの人権110番」
自分自身がいじめを受けていなくても、友達やクラスメイトがいじめられていることに気づく場合があります。今井さんは、「友達を守るために大人に知らせることは、決して悪いことではありません。見て見ぬふりをすることで、意図せずいじめに加担してしまうことを、ご家庭でもお話いただければと思います」と呼びかけます。
一方、親や先生など身近な人にはかえって相談しにくい場合もあります。そこで、今井さんは専門相談窓口「こどもの人権110番」と「法務局LINEじんけん相談」を紹介します。日頃から「いじめ」や「人権」について相談にのっている法務局の職員や人権擁護委員の方々が、一緒に問題を考えてくれます。名前を言いたくなければ、匿名での相談も可能ですし、秘密も守られます。
なお、「こどもの人権110番」と「法務局LINEじんけん相談」の受付時間は、平日の午前8時30分~午後5時15分ですが、8月28日(金)から9月3日(木)までの1週間は、「全国一斉『こどもの人権相談』強化週間」として午後7時まで延長されるほか、土日も午前10時から午後5時まで受け付けています。ほかにも、手紙で相談できる「こどもの人権SOSミニレター」「こどもの人権SOS-eメール」などもあり、自分が相談しやすい方法を選ぶことができます。
最後に、今井さんは「いじめを受けている子も、お子さんのことで悩んでいる保護者の方も、友達がいじめられていることに気づき心を痛めている子も、どうか1人で抱え込まないでください。『こんなことを相談していいのかな』と迷うようなことでも構いません。あなたの話を聞き、一緒に考え、力になりたいと思っている人がいます。勇気を出して、誰かに声をかけてください。その一言が、今の状況を変える大きな一歩になるはずです」とメッセージを送りました。
番組のエンディングでは、杉浦と松井が今回学んだ「いじめ」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず松井は“子どもも大人もひとりで抱え込まず”とスケッチブックに書きました。続いて、杉浦は「こどもの人権110番」と注目ポイントを挙げ、「迷ったときは電話をしてください。
法務省のWebサイト
では、人権相談窓口を一覧で紹介しています」とコメントしました。
(左から)松井玲奈、杉浦太陽
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、松井玲奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm