笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。6月13日(土)の放送は、先週に引き続きサンスターグループ 情報セキュリティ グローバルディレクターの堀健二(ほり・けんじ)さんが登場。社内のDX推進について話を伺いました。
(左から)堀健二さん、笹川友里
堀健二さんは、1986年に名古屋大学工学部電子工学科を卒業後、松下電器産業株式会社(現パナソニックホールディングス株式会社)に入社。情報・マーケティングにおけるシステムやセキュリティ分野を中心にキャリアを重ね、2019年にサンスター株式会社へ入社。現在はIT&DX推進部長のほか、消費財日本事業本部 デジタル戦略管掌、情報セキュリティ グローバルディレクターの3つの役職を兼務。また、日経ITイノベーターズのエグゼクティブメンバーとしても活動しています。
◆現場の声から始まったDX改革
先週の放送では、新たなビジネスモデルの創出や顧客満足度の向上を目指す「攻めのDX」について話を伺いました。今回は、社内のシステム刷新などを通じて、効率化や生産性向上を図る「守りのDX」について迫りました。
堀さんが2019年にサンスターへ入社した後、まず実施したのは、各部門の責任者へのヒアリングでした。現場から業務上で困っていることを吸い上げ、その内容をもとに会社全体の変革プランを構築し、DX推進の土台を作成していきました。そのなかで、堀さんが最初に着手したのは社員が働きやすい環境の整備でした。
例えば、当時は書類への押印や回覧が多く残っていたため、承認業務をデジタル化したり、Microsoftのコミュニケーションツール「Teams」を導入したりして、場所を問わずやりとりできる環境を整えました。さらに、堀さんは「まだ当時は固定電話がメインで、『オフィスにいないと電話ができない』といった状況だったんですけれども、これを全員スマホに置き換えました。ですので、私どもの会社には固定電話はありません。そうした形で、いつでもどこでも仕事をしやすい環境を整えました」と振り返ります。
もう1つの大きな課題が、長年稼働し続けてきた基幹システムの刷新でした。当時のシステムは約50年前に構築されたものであったため、当時の設計者がいなかったり、(仕様書などの)資料が十分に残っていない状況でした。しかも、度重なる改修によって構造が複雑化しており、セキュリティ面のリスク解消も課題となっていました。
刷新には大きな負担やリスクが伴いますが、堀さんは「ここは思い切ってやるしかないなと。『今ここで決断しなければ、後々もっと大きな悔いを残すことになる』ということで、一丸となって変革を進めていきました」と力を込めます。そして、今後もさまざまな変化に柔軟に対応できるよう、よりフレキシブルな仕組みづくりを目指していくと言います。
◆生成AIが広げる新たな働き方
続いて、社内向け生成AIサービス「Secured Gen(Generative) AI for SUNSTAR」(通称GenAI-SUN(ゲンナイさん))について伺います。これは、社内の情報を外に漏らさない安全性を保ちながら、文章の要約や翻訳、文章作成のサポート、情報収集、画像生成など、さまざまな機能を利用できる生成AIです。
本社をスイスに置くサンスターグループでは、グローバル化が進むなか、日本語と外国語が混在する環境で業務をおこなう機会も増えています。堀さん自身も、海外とのやり取りが多い業務のなかで、「GenAI-SUN」の翻訳機能や大量の英文資料の要約などを日常的に活用していると言います。「これらのツールを上手に利活用しながら、日本語と英語が入り混じった環境下でも、仕事を円滑に進めていけるようになってきています」と語ります。
◆デジタルとアナログが支える社内変革
サンスターグループは2021年 、大阪府高槻市に新オフィス「サンスターコミュニケーションパーク」を開設しました。これに伴い、“働きやすい環境づくり”について考える場を設けるべく、「働き方改革委員会」を発足させました。一般的には、経営層や総務、人事部門が主導して新しい働き方を示すケースが多いなか、堀さんは、あえて委員会に入りたい人を社員から募集し、さまざまな部署から集まった社員が、より働きやすい環境づくりに向けて意見を出し合い、それを実際に反映させる仕組みを構築しました。
その結果、委員会メンバーからの提案によって、フリーアドレスの導入や安全性確保を考慮したビジネスカジュアルな服装が定着。さらには、テレワークやフルフレックス制度なども取り入れられ、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方にシフトしました。堀さんは、「アナログ(なアプローチ)ではありますけれど、『自分たちの手で会社を変えていくんだ!』という実感を社員が持てたことが、会社としても大きなメリットになったのではないか」と振り返ります。
一方、大規模な組織全体の働き方を成功させるには、課長や係長を務めるミドルマネージャー層がどう変わるかが一番大事だと堀さんは指摘します。経営層からの期待と、現場からのニーズの板挟みになる大変な立場だからこそ、“変化”に対する躊躇や不安は一般社員以上に大きいものです。しかし、同時に変化への強い意欲も秘めていると言い、「彼らの意欲の火種を消すことなく『ミドルマネージャーの方々にどうすれば奮起してもらえるか』を考えることは、大変でしたがやりがいのある挑戦でした」と語ります。
最後に、堀さんは“変革”を起こすこと自体が最も大切なことだと述べ、「極論を言えば、目的が達成できるのであれば、デジタルでもアナログでもどちらでもいいんじゃないかと考えています」と強調します。もちろん、デジタル技術を活用することは不可欠ですが、「人の温もりやコミュニケーションといったアナログな部分も、日用品を扱うメーカーとして欠かせない要素だと思います」と話します。デジタルの先進性とアナログの柔らかさ、双方の良さを補完し合うことで、未来の変化にもしなやかに対応できる組織づくりを進めています。
次回6月20日(土)の放送は、大和ハウス工業株式会社執行役員 デジタル戦略担当の川口正起さんをゲストに迎えてお届けします。暮らしと産業のインフラを幅広く手がける大和ハウス工業のAIと生成AIを駆使したデジタル変革について、貴重な話が聴けるかも!?
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/