モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。6月24日(水)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「英語教育にAIを使うこと」。情報社会学が専門の学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんに解説していただきました。
※写真はイメージです
◆世界で進む教育現場のAI活用
読売新聞によりますと、文部科学省は6月18日、教科書や授業の基準となる学習指導要領の改定に向け、英語教育の取りまとめ案を提示しました。英語教育での「AI=人工知能の適切な活用」を初めて指導要領に明記、外国語を学ぶ意義も再定義しました。
吉田:塚越さん、この英語教育の取りまとめ案について詳しく教えてください。
塚越:今回の取りまとめ案は、文科省の諮問機関の「中央教育審議会」で大筋了承されまして、2030年度以降の学習指導要領に反映される見通しです。AIの活用については、生徒の発音練習や英会話の相手、英作文の添削などが想定されています。
AIと教育について、文科省は2024年度から、全国の選ばれた小中高校でAI活用のモデル事業をはじめたのですが、使ってみると英語の発音や作文など、話す力と書く力が伸びたということです。簡単にいえば、AIが「個人指導」してくれるということで、文科省側もAIが英語教育を大きく変える可能性があるという見方をしています。
一方で、AIによる翻訳技術が向上したことで、「英語学習の意義を生徒に説明するのが難しい」という指摘が今回の会議でありました。それだけAI翻訳が優れていて、影響力が強いということです。英語を学ぶ意義について、取りまとめ案では、異なる言語や文化を尊重して、国内外の多様な他者との共生につながる点や、人間同士の対話はAIよりも視野が広がることをあげています。また、AIの回答が正しいかを判断するにも、語学力が欠かせない、といったことも示されています。
いずれにしても、外国語教育にAIは強い影響が出るわけですが、現状は学校現場の判断に委ねられています。ですから、学習指導要領に位置づけをしないと格差が出てしまうのでは、といった指摘もされました。
吉田:英語教育の取りまとめ案を、どのようにご覧になりましたか?
塚越さん:AIは強い影響力があるので、うまく使っていくための方向を打ち出したと思います。一方で、AIが便利すぎると、外国語を学ぶ意義を見失う生徒も出てくる可能性があります。AIも大事ですけれども、リアルの英語話者と実際に会話する機会を増やして、「外国語が話せると嬉しい」という体験を増やしていくことも重要になると私は思います。
◆AI時代に必要な学びと体験の両立
ユージ:世界に目を向けると、授業でAIを使う国は増えてきているようですね。
塚越:OECD(経済協力開発機構)が小中学校の教員を対象に行った2024年の調査によると、この1年間において授業でAIを使ったという小中学校の教員は、国際平均だと約36%ですが、日本は約17%でした。対象の55ヵ国のうち54位と、非常に利用率が低いです。AIを使うことへの懸念点を聞くと、日本では「児童・生徒の偏った見方を増大させる」や「プライバシーやセキュリティの不安がある」という声が約5割で、こちらは国際平均よりも高いです。
海外ではAIの利用が進んでいて、例えばオーストラリアのニューサウスウェールズ州だと、学校向けに生成AIツールを開発して、質問にすぐ回答するのではなく、考え方や調べ方を示す機能を搭載したものを導入しているということです。最近はChatGPTにも「学習モード」というのがありまして、すぐに正解を教えるのではなく、一緒に子どもと考える機能がありますけど、それの学校特化型ということだと思います。他にもさまざな事例があるので見ていくと、使わないということよりも、「どううまく使うか」に焦点が当たっているように思いますね。
ユージ:英語に限らず、学校の授業でAIを使うことについて、塚越さんはどうご覧になっていますか?
塚越:一言で言うと、「現状はケースごとにAIの使い分けが重要」に尽きます。最近は教科書もデジタルか紙がいいのかで議論がありますが、これもやはり「使い分け」の議論なんですよね。もうひとつは、異なる人や文化を体験してもらうことで、広い意味での教養をつけることも重要なのかなと思います。AIで効率的な個別学習ができるようになってきているので、そこで勉強したぶん、空いた時間で体験をしてもらうということです。
体験そのものがなくなってしまうと、やる気が失われる、つまり意欲が薄れていきます。そうすると「全部AIに任せよう」という発想になるわけです。実際、大学でもさまざまな調査がおこなわれており、外国語の課題を全部AIに任せて提出した経験がある学生も増えているという結果も出ています。これは小中高でも起きうること、あるいはすでに起きているかもしれません。
基礎的な体力をつけるという意味でも、ある程度自分でやっていくということは重要なので、そこを考える必要があります。一方で、「最近の若者は」というニュアンスで、「AIは全部ダメ」と言ってしまうと、それはそれでおかしなことになりますよね。若い人は新しい頭の使い方ができているシーンもあるので、すぐに否定するのではなく、きちんと考える必要がある点も指摘したいです。ユージさんはいかがでしょうか?
ユージ:AIは本当にすごいなと思っています。最近はAIに入力するだけじゃなくて、会話するバージョンもあるじゃないですか。僕自身、まったく話せない言語の外国の方と会話できたことがあって、それを実感したときは、「AIでいいのかもしれない」と思ってしまった自分がいましたね。
塚越:AIのレベルがすごく高いんですよね。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組公式X:
@ONEMORNING_1