作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。
5月25日(日)の放送は「村上RADIO~ワルツが聴きたい~」をオンエア。今回は55分まるごとワルツ特集! 村上さんが自宅のレコード棚から持参したアメリカのワルツ、ジャズ・ワルツ、日本語で歌われるワルツなど、幅広いジャンルの選りすぐりのワルツをオンエアしました。
この記事では中盤3曲について語ったパートを紹介します。
◆Helen Merrill「Beautiful Love」
“ニューヨークのため息”と呼ばれたヘレン・メリルが、ハスキーな声でしっとりとワルツを歌います。うーん、素敵な歌いっぷりです。いいんですよね。僕はワルツというと、この「Beautiful Love」という曲が頭にすっと浮かびます。この曲、フォービートで歌うと、意外につまらないかもしれませんね。ツンチャッチャというリズムがメロディーを底上げするというか、ぎゅっと盛り上がります。そういうことってありますよね。“ワルツの魔術”とでも言えばいいのかな。
◆フランシス・レイ「白い恋人たち」
フランスもののワルツを聴いてください。フランシス・レイが作曲した「白い恋人たち」。
「白い恋人たち」、原題は「フランスの13日」です。1968年に、フランスのグルノーブルで開かれた冬季オリンピックの記録映画のテーマ曲になりました。ワルツのリズムと、スキーなんかのウィンター・スポーツの優美な動きが、すらりと馴染んでいて、印象的でした。映画はあまりよく思い出せないけど、音楽がしっかり頭に残っています。
そういえば「白い恋人」ってお菓子がありましたね。北海道限定のものだったんだけど、人気が出て、それで吉本興業が関西で「面白い恋人」というパロディーお菓子を発売して問題になりました。たしか裁判に持ち込まれて、和解が成立したように記憶しています。僕はまだどっちも食べたことないので、お菓子の感想は申し上げられませんが。
◆Janice Lakers「Waltz For Debby」
ジャズでワルツと言えば、なんといってもビル・スの「ワルツ・フォー・デビイ」がいちばん有名ですよね。優しく美しいメロディーを持った曲で、多くのミュージシャンが取り上げて演奏しています。もともとは器楽曲だったのですが、のちに歌詞がつけられました。デビイというのは当時2歳だった、エヴァンスさんの姪の名前です。
ビル・エヴァンス自身が演奏した、ヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音がなんといっても絶品ですが、今日は歌で聴いてください。レイカーズさんはずっとオランダで活動しているみたいで、たぶんオランダ人だと思いますが、資料は見当たりませんでした。マイナーなヨーロッパ盤なので、なかなか聴く機会のないレコードではないかと思います。歌もいいけど、バックのピアノ・トリオの演奏も聴きものです。
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5月25日(日)放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 6月2日(月)AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:村上RADIO~ワルツが聴きたい~
放送日時:5月25日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/