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「下請法」が「取適法」に名称変更…2026年1月から施行される改正法で何が変わる?
2025-10-27 (月) 20:50
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
10月26日(日)の放送テーマは、「企業対応は待ったなし! 下請法は取適法へ変わります」。公正取引委員会 企業取引課の小山光弘(こやま・みつひろ)さんから、2026年1月1日(木・祝)から施行される「取適法(とりてきほう)」について伺いました。
杉浦太陽と村上佳菜子がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
10月26日(日)の放送テーマは、「企業対応は待ったなし! 下請法は取適法へ変わります」。公正取引委員会 企業取引課の小山光弘(こやま・みつひろ)さんから、2026年1月1日(木・祝)から施行される「取適法(とりてきほう)」について伺いました。

◆「取適法」とは?
近年は原油や原材料の価格高騰、さらには賃金上昇などにより、ものやサービスの値段が上がっています。ガソリン代が上がれば運送費が高くなり、製造コストも上昇します。こうしたコスト上昇を社会全体で適切に分担していくことが求められますが、立場の弱い下請け事業者は発注元に値上げをお願いしづらく、価格に反映できないケースも少なくありません。
価格転嫁が進まなければ、中小企業である下請け事業者の経営が圧迫され、日本経済全体の活力も損なわれてしまいます。こうした不公正な取引を防ぐために設けられた法律が「下請法」です。2026年1月1日からは改正法が施行され、名称も「取適法」に変わります。
下請法から取適法に名称が変わる理由について、小山さんは「“下請け”という用語には、“上下関係”など対等な関係ではないような印象を与えるという声があり、近年は“下請け”という用語を使わなくなってきた背景から、下請法が取適法に変更されることになりました」と説明します。
なお、取適法の正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、その略称が「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」となります。また、これまで「下請け事業者」と呼んでいたものは「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」に変わります。
◆改正法の主な変更ポイントは?
続いて、小山さんに今回の改正ポイントについて解説していただきます。
「取適法」改正ポイント①「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」
中小受託事業者から「原材料価格が上がったので価格を見直したい」という申し入れがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明をおこなわないなどの一方的な代金決定が禁止されます。今後は、価格協議の要望があれば、きちんと応じることが義務づけられます。
「取適法」改正ポイント②「手形払い等の禁止」
これまで、企業間の取引では「手形」が広く使われてきました。手形とは、将来の期日に特定の金額を支払うことを約束した有価証券で、「現金がなくても購入ができる」という利便性があります。その一方で、小山さんは「支払いを先延ばしにする効果を持つ手形払いは、中小受託事業者に資金繰りの負担を押し付け、その管理コスト面でも大きな負担がかかっていました。こうした背景から、手形払いが禁止されることになりました」と説明します。
さらに、金銭及び手形以外の支払い手段として使われている「電子記録債権」などについても、支払い期日(受領日から60日以内)までに代金の全額を受け取れない場合は違反となります。つまり、今後は「仕事の対価を期日までに必ず満額で受け取れる」といった仕組みが法律によって保障されます。
とはいえ、「手形を使用していた委託事業者にとっては、期日までに資金を用意して支払う必要があるため、実務上は大きな影響を受けるでしょう」と小山さん。支払う側と受け取る側、双方の準備と理解が求められます。
「取適法」改正ポイント③「適用対象の拡大」
これまで下請法の適用対象となるかどうかは、「取引当事者の資本金」を基準として判断されていましたが、今回の改正によって新たな基準に「従業員数」が加わりました。これにより、資本金が少なく適用外だった発注者でも、従業員数が一定以上であれば取適法の適用対象になります。
また、取引内容に関する適用範囲も広がります。これまでは「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」の4種類が対象でしたが、新たに「特定運送委託」が追加されました。
「製造委託」…物品の販売、または製造を請け負っている事業者が、規格、品質、形状、デザインなどを指定し、他の事業者に製造や加工を委託する取引のこと
「修理委託」…物品の修理を請け負っている事業者が、その修理を他の事業者に委託する取引のこと
「情報成果物作成委託」…ソフトウェアや映像コンテンツ、各種デザインなどの提供や作成をおこなう事業者が、他の事業者にその制作作業を委託する取引のこと
「役務提供委託」…他者からサービス(役務)の提供を請け負った事業者が、さらに他の事業者に委託する取引のこと
「特定運送委託」…自社の事業のためにおこなう物品の運送を他の事業者に委託する取引のこと
さらに、法律の運用体制も強化されます。これまでは公正取引委員会と中小企業庁が中心となって違反行為を是正してきましたが、今後は各業界を所管する省庁も指導や助言をおこなえるようになります。
最後に、小山さんは「来年1月からの施行で、下請法は取適法へと名称を改め、対象となる取引や事業者の範囲が拡大します。取引における手形払いなども1月1日以降に発注を受けた分は禁止となります。委託事業者も中小受託事業者も、取適法の基準を改めて確認し、みんなで安心して取引できる環境をつくっていきましょう」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「取適法」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は“「下請法」は「取適法」へ”と注目ポイントを挙げ、「一番大切なところです」と強調します。一方、杉浦は“適正な取引をしましょう”とスケッチブックに書き、「取適法について詳しく知りたい方は、公正取引委員会のWebサイトにある取適法のガイドブックをご覧ください」とコメントしました。

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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm
10月26日(日)の放送テーマは、「企業対応は待ったなし! 下請法は取適法へ変わります」。公正取引委員会 企業取引課の小山光弘(こやま・みつひろ)さんから、2026年1月1日(木・祝)から施行される「取適法(とりてきほう)」について伺いました。

(左から)杉浦太陽、小山光弘さん、村上佳菜子
◆「取適法」とは?
近年は原油や原材料の価格高騰、さらには賃金上昇などにより、ものやサービスの値段が上がっています。ガソリン代が上がれば運送費が高くなり、製造コストも上昇します。こうしたコスト上昇を社会全体で適切に分担していくことが求められますが、立場の弱い下請け事業者は発注元に値上げをお願いしづらく、価格に反映できないケースも少なくありません。
価格転嫁が進まなければ、中小企業である下請け事業者の経営が圧迫され、日本経済全体の活力も損なわれてしまいます。こうした不公正な取引を防ぐために設けられた法律が「下請法」です。2026年1月1日からは改正法が施行され、名称も「取適法」に変わります。
下請法から取適法に名称が変わる理由について、小山さんは「“下請け”という用語には、“上下関係”など対等な関係ではないような印象を与えるという声があり、近年は“下請け”という用語を使わなくなってきた背景から、下請法が取適法に変更されることになりました」と説明します。
なお、取適法の正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」で、その略称が「中小受託取引適正化法」、通称「取適法」となります。また、これまで「下請け事業者」と呼んでいたものは「中小受託事業者」、「親事業者」は「委託事業者」に変わります。
◆改正法の主な変更ポイントは?
続いて、小山さんに今回の改正ポイントについて解説していただきます。
「取適法」改正ポイント①「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」
中小受託事業者から「原材料価格が上がったので価格を見直したい」という申し入れがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明をおこなわないなどの一方的な代金決定が禁止されます。今後は、価格協議の要望があれば、きちんと応じることが義務づけられます。
「取適法」改正ポイント②「手形払い等の禁止」
これまで、企業間の取引では「手形」が広く使われてきました。手形とは、将来の期日に特定の金額を支払うことを約束した有価証券で、「現金がなくても購入ができる」という利便性があります。その一方で、小山さんは「支払いを先延ばしにする効果を持つ手形払いは、中小受託事業者に資金繰りの負担を押し付け、その管理コスト面でも大きな負担がかかっていました。こうした背景から、手形払いが禁止されることになりました」と説明します。
さらに、金銭及び手形以外の支払い手段として使われている「電子記録債権」などについても、支払い期日(受領日から60日以内)までに代金の全額を受け取れない場合は違反となります。つまり、今後は「仕事の対価を期日までに必ず満額で受け取れる」といった仕組みが法律によって保障されます。
とはいえ、「手形を使用していた委託事業者にとっては、期日までに資金を用意して支払う必要があるため、実務上は大きな影響を受けるでしょう」と小山さん。支払う側と受け取る側、双方の準備と理解が求められます。
「取適法」改正ポイント③「適用対象の拡大」
これまで下請法の適用対象となるかどうかは、「取引当事者の資本金」を基準として判断されていましたが、今回の改正によって新たな基準に「従業員数」が加わりました。これにより、資本金が少なく適用外だった発注者でも、従業員数が一定以上であれば取適法の適用対象になります。
また、取引内容に関する適用範囲も広がります。これまでは「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」の4種類が対象でしたが、新たに「特定運送委託」が追加されました。
「製造委託」…物品の販売、または製造を請け負っている事業者が、規格、品質、形状、デザインなどを指定し、他の事業者に製造や加工を委託する取引のこと
「修理委託」…物品の修理を請け負っている事業者が、その修理を他の事業者に委託する取引のこと
「情報成果物作成委託」…ソフトウェアや映像コンテンツ、各種デザインなどの提供や作成をおこなう事業者が、他の事業者にその制作作業を委託する取引のこと
「役務提供委託」…他者からサービス(役務)の提供を請け負った事業者が、さらに他の事業者に委託する取引のこと
「特定運送委託」…自社の事業のためにおこなう物品の運送を他の事業者に委託する取引のこと
さらに、法律の運用体制も強化されます。これまでは公正取引委員会と中小企業庁が中心となって違反行為を是正してきましたが、今後は各業界を所管する省庁も指導や助言をおこなえるようになります。
最後に、小山さんは「来年1月からの施行で、下請法は取適法へと名称を改め、対象となる取引や事業者の範囲が拡大します。取引における手形払いなども1月1日以降に発注を受けた分は禁止となります。委託事業者も中小受託事業者も、取適法の基準を改めて確認し、みんなで安心して取引できる環境をつくっていきましょう」と呼びかけました。
番組のエンディングでは、杉浦と村上が今回学んだ「取適法」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。村上は“「下請法」は「取適法」へ”と注目ポイントを挙げ、「一番大切なところです」と強調します。一方、杉浦は“適正な取引をしましょう”とスケッチブックに書き、「取適法について詳しく知りたい方は、公正取引委員会のWebサイトにある取適法のガイドブックをご覧ください」とコメントしました。

(左から)杉浦太陽、村上佳菜子
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・村上佳菜子 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、村上佳菜子
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm




