モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。
この日の放送は、お休み中の吉田に代わりTOKYO FMアナウンサーの手島千尋がパーソナリティを担当しました。
今回の放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「副業を容認する企業が過去最高…新たなキャリアパス『副業転職』とは?」。情報社会学が専門の学習院大学・非常勤講師 塚越健司さんに解説していただきました。
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◆副業を容認する企業が増加
パーソル総合研究所が実施した「第四回 副業の実態・意識に関する定量調査」で、副業を容認する企業の割合が64%と過去最高になったことが分かりました。
ユージ:塚越さん、まずは、この調査結果について詳しく教えてください。
塚越:厚生労働省は2018年に、モデルとなる副業規則を改定しています。これによって、実質的に副業が解禁になりました。パーソル総合研究所は、その実質解禁になった2018年の副業の実態や意識を定量的に調査しています。
今年の調査は8月の頭に、20代~50代の正社員と企業の人事担当者を対象にインターネットで実施しました。その結果、従業員が副業することを容認する企業は64%で、前回2023年の調査から約3ポイント上昇しました。一方で、副業で働く人を受け入れると答えた企業の割合も29%と約5ポイント増えて、いずれも過去最高となりました。全体として20代など、若い層で副業実施が多くなっています。
◆副業先に転職する「副業転職」 そのメリットは?
手島:この調査結果には、聞き慣れない「副業転職」という言葉も出てきますよね。
塚越:はい。あまり聞き慣れない言葉ですよね。「副業転職」は簡単にいうと、副業として働いていた仕事がメインになって、副業先の企業に「正社員として転職する」という、新しいキャリアパスのことを指します。
この調査では、副業経験者全体の6.7%が、副業先に実際に転職したことが分かりました。副業転職も若い層ほど高く、20代だと経験者のうち13.6%となっています。もちろん、働く人全体のなかでまだまだ副業転職は多くありませんが、今後はもっと増える可能性もありますよね。そのため、企業としても副業先に社員が転職してしまうリスク対策だったり、逆に副業する人の転職を受け入れるかどうかを考えたりする上でも、副業の潮流を捉えておく必要があると考えられます。
今回の調査では、副業人材を受け入れている企業に、副業で働く人が自分の会社に転職してきたことがあるかを尋ねると、55.6%は「ある」と回答しています。この割合は2023年の調査から上昇していて、副業経由で入社するケースも、珍しくなくなってきたことになりますね。こうしてみると、副業転職は個人にとっても企業にとっても、最初に副業という「お試し期間」があるため、入社後のミスマッチを減らす機会にもなると思います。
また副業転職をした人は、働くことにやりがいを感じるなどのポジティブな状態(「ワーク・エンゲイジメント」)も、通常の転職者と比べて高いことも分かっています。最初から副業で仕事をしていますので、入社してからの期待と現実のギャップも少なくなるのかなということです。
さらに一般的なプロセスで転職した人と比べてみると、副業から転職した人は、キャリアに対する上昇志向が一般的な転職者より高く、仕事と生活の調和など、安定志向は低いという結果が出ています。つまり、副業転職者は、全体として意欲の高い人になるといえますね。もちろん、働きすぎなどには気を付ける必要があるかと思います。
副業転職者は一般の転職者と比べて、もともとの勤め先への不満が大きかったというデータもあります。会社に不満を持つ従業員が、最低限の働き方しかしなくなるという「静かな退職」が問題となっていますよね。逆に考えると副業転職者は、その逆の「アクティブ転職」といえるのかなと私は思いました。
◆“働きやすい環境づくり”が人材確保のカギ
ユージ:新たなキャリアパス「副業転職」。塚越さんは、どうご覧になりましたか?
塚越:私は、とてもいいことかなと思います。いろいろなキャリアのパスがありますし、社会としても副業を容認するようになったので、この流れはなかなか止められないですよね。どんどん転職をしたいという方にとっても、いきなり転職するよりも、副業転職ならお試しで働けるのでミスマッチも減らせていいですよね。
人材不足の世の中なので、企業側は人材が流出しないように、職場環境も改善していかなければいけません。こうしたことが巡り巡って、職場環境もよくなるし、働く人も多様な働き方ができるようになります。逆に言えば、よい職場環境を作っておけば、副業をしていた社員が「やっぱり我が社はいいな」と思ってくれるかもしれません。
ユージ:そうそう! チャンスでもありますよね。
塚越:副業を経て、もともと所属している会社への忠誠心が高まるということもあると思います。副業はある意味で比較する材料になりますので、働きやすい環境づくりのためにもいいことだと思います。職場のほうも、そうした流れに合わせて環境を改善していく。そのように循環をさせながら進んでいくと思います。転職を考えている方は、「副業転職」というものもあると、頭に入れておいていただけるといいのかなと思います。
手島千尋、塚越健司さん、ユージ
<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世