脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、国内外で活躍するゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。
TOKYO FMとJFN系列38局の音声配信プラットフォーム「AuDee(オーディー)」では、スピンオフ番組「茂木健一郎のポジティブ脳教室」も配信中です。この番組では、リスナーの皆さんから寄せられたお悩みに対して、茂木が脳科学の視点から回答し、「ポジティブな考え方」を伝授しています。
3月29日(土)の配信では「悪夢の対処法」に関する相談に答えました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
私はよく夢を見ます。でも、いつも良くない夢です。焦っていたり、何かに追いかけられていたり、化け物が出てきたりします。楽しい夢は一度も見たことがありません。みなさんはどうなのでしょうか?
もし脳科学的に解決法があるなら、ぜひ教えてほしいです。
<茂木の回答>
睡眠中に見る夢は、脳が記憶を整理する過程で現れるものです。ですので、夢の具体的な内容については、それほど気にする必要はありません。「何かの予兆では?」と考える方もいらっしゃいますが、夢はあくまで過去の記憶が素材となって現れるものであり、基本的には“過去”と関係しています。
ただし、夢の全体的な「雰囲気」や「傾向」は、あなたが普段抱えている感情によって左右されることがわかっています。楽しい感情を抱いていれば、それにふさわしい明るい夢を見ますし、焦りや不安を感じていれば、それに呼応するようなネガティブな夢が自動的に生成されてしまうのです。つまり、悪夢が続くということは、日常的にネガティブな感情を抱えている可能性がある、ということが推測されます。
ですので、まずはご自身が最近どんな感情を抱いているのか、少し立ち止まって振り返ってみることをおすすめします。不安や焦りを感じる原因があるのならば、それを少しずつ解消する方向に目を向けてみましょう。
また、夢そのものは現実とは直接つながっていませんが、「夢の中で印象的だった出来事」は、最近の出来事や感情と結びついていることが多いこともわかっています。たとえば夢に化け物が出てきた場合、その姿や雰囲気を思い出してみると、それに関連する最近の出来事や人物が浮かぶかもしれません。
印象に残る夢があったときは、それが最近のどんな出来事と結びついているのかを振り返って整理してみると、感情の偏りが次第に整い、悪夢を見にくくなる可能性もあります。
そして何よりも大切なのは、十分な睡眠時間を確保すること。どんな夢を見るにしても、睡眠の質を保つことが心身の健康にとって不可欠です。あまり心配しすぎず、夢そのものも“ひとつの体験”として軽やかに受け止める、そんな心の余裕があるとよいかもしれませんね。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎