TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。今回の放送テーマは「前方不注意」。JAF(日本自動車連盟)東京支部 JAF認定セーフティアドバイザーの杉本実さんに、前方不注意の種類、その対策法について伺いました。
※写真はイメージです
前方不注意は、運転中にドライバーの注意が目の前の状況から逸れている状態のことで、警察庁による令和5年の交通事故統計では、第一当事者が自動車による死亡事故2,177件のうち、約4割にのぼる873件が、前方不注意によって引き起こされたものでした。
統計からもわかる通り、運転中の前方不注意は重大な事故を引き起こす危険な行為です。どんな状況で前方不注意が生じやすいかを改めて確認し、いま一度、運転を見直しましょう。
◆“前方不注意”にも2種類ある
前方不注意は、大きくわけて外在的・内在的の2種類があります。外在的前方不注意は、いわゆる“脇見運転”と呼ばれるものです。「スマートフォンやカーナビの操作、周囲の景色に気を取られるなどの理由によって、前方の状況を確認できていない状態を指します」と杉本さん。近年、交通事故の大きな要因となっている“ながら運転”も脇見の一種です。
一方、内在的前方不注意は“漫然運転”のことで、視線は前方に向いているものの注意散漫な運転をしている状態を指します。「具体的には(運転中に)ぼーっとしている、考え事をしているなどが当てはまり、“意識の脇見”といった呼び方をすることもあります」と解説します。
また、前方不注意によって“信号無視”“車線の逸脱による歩道への乗り上げ”“ガードレールへの接触”などが発生しやすくなり、それが“他の車との追突事故”“自転車や歩行者との接触事故”などにつながります。対向車線へ逸脱した場合は対向車と正面衝突してしまうケースもあり、自転車や歩行者との接触事故に至っては相手に大ケガを負わせてしまったり、命を奪ってしまうことにもなりかねません。
◆前方不注意しないために気を付けるべきこと
外在的前方不注意は、脇見運転をしないように気をつけるのが一番です。スマートフォンやカーナビ、オーディオ、空調の操作であったり、車内での飲食は、駐車可能な場所に移動してからおこなうようにしましょう。また、杉本さんは「信号待ちなどの状況でも安全とは言えません。同乗者がいる場合は、前方不注意とならないように協力を求めることも大切です」と注意喚起します。
内在的前方不注意が発生する原因としては、体調不良や疲労が多く挙げられます。長時間の運転を伴う際は、2時間に1回を目安に休憩を取りましょう。また、車内では人間の呼吸によってCO2の濃度が高くなり、それが疲労感の増加や注意力の低下を招き、眠気や頭痛を訴える人が出てきます。運転中の集中力を維持するためには、外気導入モードに設定したり、窓を少し開けて外の空気を取り込むことが効果的です。
さらに、寝不足や過度な疲労を感じたときは“運転を控える”という決断も必要です。杉本さんは「強いストレスを感じているときは、運転に集中できず漫然運転になりやすい状況です。自分が安全に運転できるメンタルか、体調かどうかを客観的に判断してからハンドルを握りましょう」と呼びかけます。運転前に健康チェックをおこない、寝不足や疲労による交通事故を未然に防ぐことを心掛けましょう。
前方不注意に陥らないようにすることは、交通事故を未然に防ぐ大きなポイントです。そのことを意識して運転と向き合いましょう。
<番組概要>
番組名:JA共済 presents なるほど!交通安全
放送日時:毎週金曜 7:20~7:27