笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。9月20日(土)の放送は、株式会社オリエントコーポレーション 常務執行役員 企画グループ長兼デジタル・マーケティンググループ長の宇田真也(うだ・しんや)さんがゲストに登場。オリコグループのDX推進や、与信サービスのデジタル活用について伺いました。
(左から)宇田真也さん、笹川友里
宇田真也さんは大学卒業後、1989年に株式会社みずほ銀行へ入行。法人営業や経営企画で経験を積んだのち、2015年に株式会社みずほフィナンシャルグループ グループ人事部長、2017年同執行役員に就任、その後はグループ会社社長を経て、2021年より株式会社オリエントコーポレーション常務執行役員に就任。主に経営戦略全般、ガバナンス、サスティナビリティ、DX戦略、新規事業開発などを管轄している。
◆オリエントコーポレーションのメイン事業
クレジットカードやローンで広く知られる株式会社オリエントコーポレーション(オリコ)は、1954年12月に広島県で創業し、昨年70周年を迎えました。現在はオリコ本体に加えて、連結子会社18社、持分法適用会社4社を含む計22社のグループを展開しています。
事業の柱は大きく5つあります。創業以来続く「個品割賦事業」では、自動車ディーラーや家電量販店を通じたローン・リース契約を中心に、全国約91万社と提携しています。また、オリコカードに代表される「カード・融資事業」では、提携カードに強みを持ち、ヒルズカードMastercardやCostco Global Card(コストコグローバルカード)などの発行元としても知られています。
このほか、全国500以上の金融機関と連携する「銀行保証事業」、住宅賃貸の入居保証や企業の売上金回収を担う「決済・保証事業」、そしてタイ、インドネシア、フィリピンなど海外におけるローン事業の拡大も進めています。
◆“DX推進”の重要性と課題
宇田さんは、オリコで企画グループ長とデジタル・マーケティンググループ長を兼務し、経営戦略全般とDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を担当。生成AIやロボットといった先端技術を取り入れ、業務や経営に活かす取り組みを進めています。
オリコは、1992年にデータ分析の取り組みを始めてから、なんと30年以上にわたって、個人向けローンや融資に対する与信審査モデルをデータ活用によってレベルアップさせてきました。そして、2025年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画では、「リテール(一般小売)で金融を提供している当社が、さまざまな技術力を持つ企業と組んでいくには、デジタルの力が絶対に必要、という意味で“DX戦略”を軸に据えることを決めました」と説明。新たに専任部署「デジタル・マーケティンググループ」を立ち上げ、DXの取り組みを一層加速させました。
一方、DX推進における課題について「経営者から現場まで、全社員が一体となって取り組むことの難しさを非常に感じています」と言及。具体的には、デジタル人材の育成やITインフラ整備で、一例として新しく挑戦したことが失敗に終わったとしても、それを許容できる環境づくりを課題点に挙げ、「DX推進には、社員の小さな成功体験の積み重ねが大切です。AIやデータを使って業務効率が向上しているという確かな実感を得ることで、前向きな変化の連鎖が生まれていきます」と語ります。
◆オリコが目指す「与信 X テクノロジー」
オリコは「『与信 X テクノロジー』で新たな金融シーンを創りだす先進企業」を目指しています。「『与信にテクノロジーを掛け合わせて新しい価値を生み出す』という意味を込めておりまして、これまで培ってきた与信の強みを、これからは生成AIなど新しい技術と組み合わせることで、さらにレベルアップさせ、新しい価値をどんどん生み出していければと考えています」と話します。
「与信」という言葉のなかには、業務プロセス全体が含まれています。例えば、オリコのコンタクトセンターでは、数千人のスタッフがお客さま対応をおこなっていますが、ここにAIを活用して将来的にオペレーションを自動化することで、「人間はAIと伴走しながら、もっと付加価値の高い仕事に取り組んでもらう。そういう意味でも、与信の審査モデルやオペレーション分野にデジタル・AIの力をフルに取り入れていきたい」と力を込めます。
◆“スピーディー”な与信審査が可能に
ここで、笹川がAIを活用した与信審査モデルについて「過去のモデルと比べてどう変化しているのか、教えていただけますか?」と質問すると、宇田さんは「一言で言うと“簡単でスピーディー”」と断言します。
というのも、ローンの申し込みや高価な物を割賦で支払う際のカード与信審査において、経済産業省で定められた割賦販売法という法律によって、クレジット契約をおこなう際に「消費者の収入」や「クレジット利用実績」などに応じた「支払可能見込額」を調査することが、クレジット会社に義務づけられています。「当社の場合は、経済産業省とのやりとりで、この法定義務を免除してもらっています」と明かすと、笹川は「そんなことってできるんですね!?」と驚きの声をあげます。
続けて、宇田さんは「法定義務の免除によって、私ども独自のAIで与信審査が可能になりましたので、(審査が終わるまで)従来は30分とか1時間もかかっていた審査が、1~2分で済んでしまいます」と胸を張ります。さらには、「今のところ認定を受けているのは4社だけで、割賦販売専門の金融機関ではオリコだけですので、非常に(同業他社と)差別化ができているかなと思います」と話していました。
番組では他にも、デジタル分割払いサービス「ワケタラ」を紹介する場面もありました。
次回9月27日(土)の放送は、引き続き宇田さんをゲストに迎えてお届けします。
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/