笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2025年1月4日(土)の放送は、
前回の放送
に引き続き、IoTNEWS代表の小泉耕ニ(こいずみ・こうじ)さんをゲストにお迎えして、2025年のデジタルシーンについて予測していただきました。
(左から)小泉耕ニさん、笹川友里
小泉さんは、大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、テックファーム株式会社を経て、2005年より現職に就いています。
◆2025年デジタルシーン注目トピックは?
今回はまず2025年のデジタルシーンの展望について尋ねてみると、小泉さんは「2024年に続き“AIの成熟度が期待される年”になると思います」と予想します。近年、AIはアプリなどいろいろな仕組みに導入されており、日常に溶け込みつつありますが、浸透度で言えばまだまだ足りないとし、「今年が(AIが一般的に普及するかどうかの)分岐点になる」と言います。
続いて、2025年の注目トピックとして“自動運転”をピックアップ。その理由として「すでにアメリカでは、自動運転タクシー(ロボタクシー)実用化されており、「『Waymo(ウェイモ)』というGoogle系列の会社が提供している自動運転タクシーが、サンフランシスコやロサンゼルスの一部地域で走っています。これには、ハンドルやブレーキ、アクセルなどが備わっていますが、ドライバーはいません」と説明。
自動運転は“0~5”というレベルにわけられていますが、「Waymo」の自動運転タクシーはレベル4だそうで、「レベル4は“運転装置がある状態”で自動運転できる車のことで、(運転装置がないといけないのは)何かトラブルが起きたときに人間が自力で復旧させられるようにするためです」と解説します。
加えて、アメリカの大手電気自動車メーカー「テスラ(Tesla)」がレベル5の自動運転タクシーの開発に挑戦を続けていると言い、「全米でもハンドルやブレーキ、アクセルのない車はまだ認可されていないのですが、『Tesla』はそこに挑んでいるんです。昨年10月に発表されたロボタクシーは、なんとシートしかありません」とも。車を見た笹川も「信じられない」と驚きを隠せません。
さらに、テスラの創業者イーロン・マスク氏は、この自動運転機能を搭載した車を日本円にして約450万円で販売するとし、「『(所有者が車に)乗っていない時間は勝手に走ってタクシー業務をやってくれる』と言っているんです。ロボットの時代というのは『人間がロボットを使いこなす』と言いますが、そうじゃなくて“資本家がロボットに働かせて稼ぐ”のがロボットの時代なんです」と持論を展開します。
◆新たなエネルギーが誕生!?
続いて小泉さんは“エネルギー問題”に注目し、「AIのコンピューターを動かすにはすごいエネルギーが必要なんです。しかし、いま発電している電気を使っているとお金がいくらあってもたりない。そこで“マイクロ原子炉”を使った新しい原子力発電を作ろうとしている人たちがアメリカで結構いるんです」と言及。
小泉さんによると、それは“小型の原子炉”と呼ばれており、既存の原発とは違う仕組みで発電できるそうで、「この原子炉を使った発電施設を作ることで、自前で発電できるようになります。また、発電の方式の理論は確立されていますが、実践としては道半ば。しかし、今までの仕組みよりも圧倒的に安全な仕組みで動いているんですよ。現代は“電気”がないと立ち行かない世の中になってきていますが、もしこれが実装されて世の中に広がっていったとしたら、こんなにうれしいことはないじゃないですか」と期待を寄せます。
とはいえ、普及するまでには安全性の確認や運用の実績を作る必要があるため、それなりに時間はかかりますが、小泉さんは「技術の論理は確立されていますし、モノもできつつあるので、そんなに遠い未来の話ではないと思っています」と推測します。
◆デジタル・デバイドは生まれにくくなる!?
ここで、笹川が「私自身アナログな人間なので、新しいデジタル技術の情報が入るたびに“使いこなせていけるのか?”というデジタル格差みたいなものも気になります」と不安を明かすと、「ChatGPTなど(新しい技術が)が生まれると“使いこなせないと(社会から)脱落する”という論調が一定数出てきますが、結局、デジタル技術は“何も考えないで勝手に使えるようになるもの”がウケます」と小泉さん。
さらには、「これからは、今みたいに“使いこなせないといけない時代”は終わり、“普通の生活のなかにAIがいる”みたいな(世界になる)。つまり、AIが浸透していくことで“デジタル・デバイド(デジタルを使いこなせるかどうかで生じる情報格差)”は生まれづらくなると思います」とも。
しかし、ロボット化が進むことで人材を使わなくてもいい領域が増えるのも事実。「大半のことをロボットやAIがやってくれて人間は楽になるんですけど、その一方で“人間は何をやらないといけないんだっけ?”みたいな根本的なところに立ち返らなければならないタイミングは出てくると思います」と気を引き締めます。
最後に、今年最も楽しみなデジタルシーンの出来事を伺うと、小泉さんは再び“自動運転”を挙げ、「テスラが自動運転の認可をロボットタクシーという分野で取れるかどうか。2026年には(ロボットタクシーの)発売を開始すると言っています。そのためには、今年中に認可が通ってないとテストドライブもできませんから」と話していました。
次回1月11日(土)の放送は、株式会社AIST SolutionsのVice CTO・和泉憲明(いずみ・のりあき)さんをゲストに迎えてお届けします。DXを取り巻く日本企業の実情の話など、貴重な話が聴けるかも!?
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1月4日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2025年1月12日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里