TOKYO FMのポッドキャストポータルサイト「TOKYO FM ポッドキャスト」で毎週火曜日に配信中のポッドキャスト番組『教科書からは学べない!「不動産の学校」「投資の学校」』。不動産投資に興味がある方へ向けて、失敗しない方法や成功者の思考法、さらには業界の裏事情まで、不動産会社「GO STRAIGHT(ゴーストレイト)」代表・咲本慶喜(さきもと・よしのぶ)がストレートにお伝えする番組です。アシスタントはフリーアナウンサーの古賀涼子がつとめています。
6月23日(火)の配信では、都心部を中心に発生している「家賃の値上げラッシュ」をピックアップ。借主側が身を守るために知っておくべき法律の知識や、具体的な交渉術などを紹介しました。
パーソナリティをつとめる株式会社GO STRAIGHT代表・咲本慶喜
◆都心の家賃値上げラッシュ、実は「拒否できる」?
近年、あらゆる物価が上昇するなか、都心部では家賃の値上げ通知を受け取る人が増えています。しかし咲本さんは、「ほとんどのケースで、値上げをお願いされても従わなくてもいいんですよ」と切り出します。
多くの人は管理会社から値上げの手紙が届くと「上がってしまうのは仕方がない」と思いがちですが、咲本さんによると「まず拒否できます」とのこと。「値上げを飲めないなら賃貸契約の解除もありますよ」と管理会社に迫られるケースもありますが、結論としては従う必要はなく、堂々と「今までの家賃でお願いします」と伝えて問題ないと言います。
日本の「借地借家法」は借主保護の観点が非常に強く作られており、借主に著しく不利な特約については無効と判断される場合があります。
賃料という契約の最重要項目を、貸主側が勝手に変更することはできません。アシスタントの古賀が「契約更新のタイミングなら仕方がないのでは?」と疑問を投げかけると、咲本さんは「更新時であっても、一方的な値上げが直ちに有効になるわけではありません」と解説します。
アシスタントのフリーアナウンサー・古賀涼子
では、なぜ管理会社は値上げを要求してくるのでしょうか。
咲本さんは「借主に知識がないことをいいことに、『値上げできたらラッキー!』という感覚で言ってきている」大家さんが多いのも事実だと指摘。大家さんがニュースなどを見て「うちも上げようかな?」と思いつき、管理会社に指示を出す構図が多いと言います。本来なら管理会社が大家さんに「勝手には値上げできません」と伝えるべきですが、管理手数料を受け取っている立場上、大家さんに忖度して、そのまま借主へ伝えてしまうケースが後を絶たないのが実態のようです。
◆契約書の「約款」に隠された、交渉を有利に進める鍵
もし実際に「家賃増額の通知」が届いた場合、借り手はどのように対処すればよいのでしょうか?
咲本さんは、賃貸契約書の細かい条文(約款)に着目することが大切だと話します。
一般的な契約書の賃料項目には、「以下の場合は協議の上、賃料を改定することができる」と記載されており、主に次の3つの条件が挙げられています。
1. 租税の増減によって賃料が不相当となったとき(固定資産税の増減など)
2. 経済事情の変動により、賃料が不相当となったとき
3. 近隣の同等の建物の賃料と比べて不相当となったとき
一見すると「今の物価高なら値上げは妥当」と感じてしまいますが、咲本さんは文言のニュアンスに注目します。「大事なのは『協議の上』という点です。大家さんから通知が届いたとしても、その通知だけで直ちに新賃料が確定するわけではなく、まずは双方で協議をおこなうことになり、話し合いが必要です。さらに『改定することができる』であって『改定する』ではないため、改定しない余地も残されています。通知だけで借主に新賃料の支払いを直ちに強制できるわけではありません」。
このルールを踏まえ、値上げを迫られた際はまず「どのような理由で値上げをするのか」を管理会社に確認することが重要です。
たとえば「固定資産税が上がったから」と言われた場合、咲本さんは「どのくらい上がったのか提示してください」と根拠を求めるように促します。固定資産税の増加は賃料見直しの理由になり得ますが、それだけで提示された値上げ額が妥当であるとは限りません
更新日までの2年間で上がった税額を、自分が借りている部屋の面積割合で割り戻す必要があるため、駐車場などの除外スペースを引いて細かく計算すると、実際にはごくわずかな金額にしかならないケースがほとんどです。多くの場合は、大家さんの「言い値」で適当な額が請求されているといいます。
また、「経済事情の変化(修繕費の高騰など)」を理由にされた場合も、「それだけで直ちに値上げが正当化されるわけではありません」とコメント。さらに「近隣の物件が値上がりしている」と主張された場合は、逆に自分の部屋より安い近隣物件の事例を提示し、「値上げしている物件のほうが数が少なく、特殊なケースなのでは?」と論理的に返すことで、相手が値上げを断念するケースは非常に多いと咲本さんは明かします。
◆ストレスを溜めない「落としどころ」の探り方
論理的に対応すれば値上げを回避できる可能性は高いものの、大家が個人の場合もあれば法人の場合もあり、なかには弁護士を立ててプレッシャーをかけてくるケースもあります。
咲本さんは「賃料増額ゼロにこだわって大きなストレスになり、生活に支障が出るくらいなら、数千円の値上げを受け入れるという選択もありです。心が疲弊してしまったら何にもなりませんから」と、精神的な平穏を優先する見方も提示します。
ただし、何も反論せずに受け入れるのだけは避けるべきだと警鐘を鳴らします。「相手の要求をすべて鵜呑みにすると、『圧をかければ言うことを聞く相手だ』と思われ、次の更新時にまた値上げを要求される可能性もあります。今回はあくまでこちらが譲ってあげたんだ、という見せ方をしておくことが必要です」。実務的な対策として、交渉の日時や内容、相手の担当者名などを細かくメモに残しておくことを提案しました。
なお、「応じないなら訴訟だ」と脅された場合でも、家賃の増額程度でいきなり裁判になることは現実的には少ないといいます。法律上、まずは裁判所の「調停」で話し合うのがルールであり、大家側にとっても裁判費用を回収できないためです。
最後に咲本さんは、「世の中はお互い様。貸主も借主も権利意識だけでなく、まずは相手への思いやりを持つほうが心穏やかに生きていけます。ただ、どうしても不条理な要求を突きつけられたときのために、正しい知識を学んで武器を持っておいてほしいですね」と締めくくりました。
教科書からは学べない!「不動産の学校」「投資の学校」
<番組情報>
番組名:教科書からは学べない!「不動産の学校」「投資の学校」
配信日時:毎週火曜配信(予定)
出演者:咲本慶喜(株式会社GO STRAIGHT代表)、古賀涼子(フリーアナウンサー)