笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。2月15日(土)の放送は、前回の放送に引き続き、平将明(たいら・まさあき)デジタル大臣をゲストにお迎えして、石破政権の目玉政策「地方創生2.0」やデジタル改革で再興する日本の魅力などについて伺いました。
(左から)平将明デジタル大臣、笹川友里
平大臣は、1967年生まれの東京都出身。早稲田大学法学部卒業後、家業の大田青果市場仲卸会社3代目社長、東京青年会議所理事長などを経て、2005年の衆議院議員総選挙において東京4区で初当選。その後、2019年に内閣府副大臣(防災、行政改革、IT政策、宇宙政策等)を経て、2024年10月にデジタル大臣、デジタル行財政改革担当大臣、国家公務員制度担当大臣、サイバー安全保障担当大臣、内閣府特命担当大臣(規制改革)に就任しました。
◆地方創生2.0のカギ
前回の放送では、デジタル庁が推進するマイナ保険証やAIアイデアソン・ハッカソン、ガバメントクラウドなどについて話していただきましたが、今回は、石破政権の目玉政策・地方創生2.0について伺うことに。
今から10年前、安倍内閣時代に石破さんは初代地方創生担当大臣、平さんは副大臣を務め、地方経済再興や人口減少問題に取り組みましたが「好事例はあったものの、国民の皆さん全体に成果を出したという評価が広がったかというと、そうではありませんでした」と振り返ります。
それから10年後、昨年の総裁選で「地方創生を再起動させたい」という石破さんに、「当時はできなかったが、AIやブロックチェーンなど、デジタル技術が進展した今ならできることがある。『デジタル技術を活用して地方創生をおこなうのはどうか?』と私がアイデアを出して、地方創生の後ろに2.0と書き足しました」と明かします。
続けて、「10年前、石破さんが言っていたのは『よそ者・若者・バカ者の意見を聞くべきだ』と。よそ者は外からの視点、若者は若い感性、バカ者は普通の人とは違うクリエイティブ視点で意見を出す人を指し、『そうした人たちと議論をしないと本当の地方創生プランはできない』と話していました。とはいえ、はたして田舎にそういう人材がいるのか、もしくは田舎まで来てくれるのかということを考えると、かなり難しいかもしれませんが、例えば新潟県の山古志村ではブロックチェーンを使ったNishikigoi NFTの発行をスタートさせ、それを保有した人はデジタル村民として認めることで、DAO(分散型自律組織/特定の所有者や管理者が存在しなくても、事業やプロジェクトを推進できる組織)のような組織運営を開始しました。今では10年前にはできなかったようなことができるようになっています」と話します。
◆地方創生2.0実現に向けた課題
一方、現在の課題について伺うと「私がこの番組で話したようなイメージをしっかりと認識できるような、ほかの政治家が何人ついてこられるかどうか」と平大臣。これに笹川が「現時点は何人いると思われますか?」と尋ねると、平大臣は「15%ぐらいでしょうか」と答えます。
しかし「大事なのは成功事例を横に広げることで、それにはやり方があると思っています。ただ、成功までの道のりにおける想像力が明確に湧かなければ前に踏み出せないと思っているので、いかにわかりやすく広げ、自発的に自走し始めるかが重要」と将来を見据えます。
ここで、デジタル化の好事例として北海道・ニセコのスキー場を紹介。ニセコのスキー場に近年外国人が殺到していることを受け、スキー場の事業者はリフトのファストパスなどをNFT(偽造不可能な証明書付きデジタルデータ)で発売。すると、すぐさま高値で取引されるようになったそうです。
この事例を受けて、「ブロックチェーンがない時代は、5,000円のものが転売されて10万円になったとしても、儲かるのは転売する人だけでしたが、ブロックチェーンを活用すれば、転売されるたびに利益が事業者に還元されるようになります。例えば、1,000年続くお祭りを間近で見られるチケットや、桜のハイシーズンに満開の桜を存分に楽しめる特等席など、日本には価値のあるアナログがたくさんあるので、そうしたものをNFT化することで、地域のアナログ価値が最大化できるようになります。そうやって、自分たちにも利益が生まれる可能性のあることが多くの人に伝わるようになると、地方創生は進んでいくと思います」と力を込めます。
◆平大臣がイメージする“未来の日本”
続いて、平大臣が今後取り組んでいきたいことを聞いてみると「こういう時代だからこそ、早く成果を出してPDCAを回していきたい。というのも、元々私は商売人育ちですが、民間人には“資金繰り”という重要な指標があり、早め早めに資金調達を行うことが大切です。民間のビジネスと同じ時間軸を持っている私のような人間が政府の中枢にいるのはいいことなので、早く仕事を遂行して失敗したら修正、そして、次のチャレンジをおこなう。これを積み重ねていきたいと思います」と力を込めます。
最後に、平大臣が想像する未来のビジョンを伺うと「先ほども話しましたが、日本は“アナログの価値大国”で、地域の多様性も、四季も食も、長い伝統と文化も、ポップカルチャーもお祭りもありますし、観光体験がたくさんあります。つまり、地方にはものすごくビジネスチャンスがあるので、中長期的に見れば日本はとても良くなります」と声を大にします。
一方、現状の問題として電力と食料を挙げつつも「電力は核融合エネルギー発電の実用化に取り組むことで、うまくいくと2050年ぐらいにエネルギー自給率が100%になる可能性があります。そして、電力問題が解決すれば、日本は豊かな漁場や畑があるので、理論的にはカロリーベースで食料自給率も100%になります。その結果、真の豊かで安心できるくらしを実感できるようになります。皆さん気づいていないだけで、日本は良くなる未来しか見えないです」と力強く語っていました。
次回2月22日(土)の放送は、IVA株式会社 代表取締役社長の相原嘉夫(あいはら・よしお)さんをゲストに迎えてお届けします。IVAが提供している真贋鑑定サービス「フェイクバスターズ」についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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2月15日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2025年2月23日(日・祝) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里