TOKYO FMグループの「ミュージックバード」が制作し、全国のコミュニティFMで放送中のラジオ番組「デジタル建設ジャーナル」(毎週日曜 15:00~15:55)。建設業界のデジタル化・DXを進めるクラフトバンク株式会社が、全国各地で活躍し、地域を支える建設業の方をゲストにお迎えするインタビュー番組です。一般になかなか伝わりにくい建設業界の物語を全国のリスナーに広めます。
今回の放送では、株式会社澤村に注目。代表取締役社長の澤村幸一郎さんをゲストにお迎えして、オフィス建築で重視するポイント、社内DXについて伺いました。
(左から)株式会社澤村 代表取締役社長 澤村幸一郎さん、パーソナリティの金村剛史
◆建築と交流で地域を支える株式会社澤村
滋賀県高島市に本社を構える株式会社澤村は、滋賀・京都・福井エリアを中心に展開する総合建設会社です。新築住宅から公共施設、オフィス、観光名所「びわ湖テラス」の施工まで幅広く手がけています。
代表取締役社長の澤村さんは、自社を「ゼネコンと工務店とのハイブリッド」と表現。企業向けの工場やオフィス建築と、個人向けの住宅・リフォーム事業を両立している点が特徴で、約200人の従業員がそれぞれの分野に携わっています。
住宅だけでなく工場やオフィスも設計から手がけており、「設計事務所の機能もあるゼネコンと工務店の複合体みたいな感じ」と説明。構造設計の一部を除き、多くを社内で完結できる体制を整えています。本社敷地内には、住宅モデルハウスやグリーンショップも併設。植物を扱う専門チームもあり、空間づくりにグリーンを取り入れる提案にも力を入れています。
また、元自転車店を活用した「Rin Takashima」という拠点は、会議室や自社スペースとして利用する傍ら、コワーキングスペースとしても使える共創の場として展開し、地域交流イベントも開催。元自転車店という背景と「人と人を繋ぎたい」という思いから、“輪”の名前を付けたそうです。建築だけでなく、人と地域をつなぐ取り組みにも力を注いでいます。
◆オフィスづくりで組織文化を育む
株式会社澤村が大切にしているのは、「なぜその空間をつくるのか」という目的を共有することです。特にオフィス建築では、レイアウトを決める前段階から、企業が抱える課題や目指す姿を丁寧に整理していくといいます。
たとえば、新しいオフィス建築では、オフィスや工場で働く社員と現場で働く社員との温度差が生まれるケースもあるため、各部署で選出されたスタッフでワークショップを実施。「なぜ本社をきれいにするのか」「どんな会社を目指したいのか」を共有しながら計画を進めています。「このためにオフィスを作るんだって納得したあとに進めていくと、使い方が全然違うと思っています」と澤村さんは説明します。
実例として、社内食堂をどこに設置するかという検討において、当初は最上階案が出ていたものの、「働く合間に利用するなら1階が使いやすい」という現場の声を反映させたそうです。こうした対話を重ねることで、完成後も社員が自発的に空間を活用するようになり、澤村さんは「組織文化をつくるのに、オフィスづくりを利用するのは理にかなっている」と語ります。
また、建設業界におけるDXにも力を入れており、設計から施工まで一貫して手がける同社では、3Dモデルを活用する「BIM(Building Information Modeling)」を導入。設計データや施工情報を一元管理できる体制づくりを進めています。完成イメージを3Dで共有できることで提案力向上にもつながっているそうです。
さらに澤村さんは、生成AIが進化する時代だからこそ、建設業には大きな可能性があると話します。建設現場にはアナログな作業も多く残る一方、「生産性を上げる工夫はまだまだできる」と実感していると話します。かつてMBAの講義で建設業が「未熟産業であり衰退産業」と言われた経験にも触れながら、現在は人手不足が深刻化し、「これ以上衰退すると国のインフラを守れない」と指摘。そのうえで、「上がるしかない」と語り、ITと建設を掛け合わせることで、業界には大きな成長余地があると展望を示しました。
(左から)株式会社澤村 代表取締役社長 澤村幸一郎さん、パーソナリティの金村剛史
◆「いつか澤村に頼みたい」と思ってもらえる仕事づくり
澤村さんは、建築会社の枠を超え、企業の成長に伴走する存在を目指しています。近年は、「変わりたいけれど、何をすればいいかわからない」という相談も増えているそうです。そうした言葉になる前の課題や可能性を“種”にたとえ、「まだ芽が出ていない段階から一緒に育てていける会社でありたい」と語ります。
オフィスづくりでも、見た目を整えるだけでなく、社員一人ひとりの思いや企業文化を育てることを重視。「思いを持った社員がいれば、お客さまを感動させることがある」と話し、建築を“働く人の思いを育てる手段”として捉えています。
実際に、事業承継を控えた企業から「自社の文化や強みを整理したい」という相談を受けた際には、コンサルティングではなく会社案内パンフレットの制作を提案。社員との対話を重ねながら、「自社の強みとは何か」を丁寧に言語化していったといいます。
澤村さんは、「中小企業は、そこにいる人たちが文化を形成している」と説明します。完成したパンフレットは採用面でも反響を呼び、その後はオフィス移転プロジェクトにも発展。企業支援が建築の仕事へとつながっていきました。
澤村さんは、すぐに利益へ直結しない部分でも伴走することを大切にしています。「いつか澤村と仕事がしたい」と思ってもらえる関係づくりにやりがいを感じていると語りました。
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音声版「デジタル建設ジャーナル」
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<番組概要>
番組名:デジタル建設ジャーナル
放送日時:毎週日曜日 15:00-15:55
パーソナリティ:中辻景子・田久保彰太・津吉沙織里・金村剛史