笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。11月5日(土)の放送は、株式会社コンカー・代表取締役社長の三村真宗(みむら・まさむね)さんをゲストに迎え、お届けしました。
三村真宗さん、笹川友里
三村さんは1993年に慶應義塾大学法学部を卒業後、SAPジャパン株式会社に入社し、社長室長、CRM事業本部長、戦略製品事業バイスプレジデントなどを歴任。2006年には、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社し、金融、通信、ハイテク企業などの戦略プロジェクトに従事。2008年日本マイクロソフトを経て、2009年、ベタープレイス・ジャパン株式会社シニア・バイスプレジデントに就任。そして、2011年にコンカー代表取締役社長に就任しました。
◆“5つのレス”で面倒な経費精算業務を軽減!
世界で約7,800万人が利用し、日本でも8年連続でトップシェアを誇る出張・経費精算クラウドシステム「SAP Concur(エスエーピー・コンカー)」。そのシェア率は、米ビジネス誌「FORTUNE(フォーチュン)」が、年1回発表する全米企業の総収入ランキング「Fortune 500(フォーチュン500)」に名を連ねる企業の約75%が「SAP Concur」を採用しており、国内でも「時価総額トップ100企業のうち、約3分の2にあたる62社にご利用いただいている」と三村さん。
そんなSAP Concurをさらに普及させ、「経費精算という非常に面倒な仕事をしなくても、経費が払い戻される世界を作りたい」と展望を語ります。そのためにも「5つの“レス”を実現することによって、経費精算の仕事がなくなると考えています」と声を大にします。
1つ目は「キャッシュレス」。従来、経費を使う際に現金や個人のクレジットカードで立て替えるケースが多く、使った経費をビジネスパーソンが手で入力する必要がありましたが、SAP Concurではキャッシュレスを推奨。法人カードやさまざまなキャッシュレス決済、タクシー配車アプリなどとSAP Concurをデータ交換し紐づけることによって、デジタル決済をしている限り、データが自動的にSAP Concurに集まるようになっています。
そして、「“いつ、どこで、何に、いくら使ったか”という情報を入れなくても、キャッシュレス決済をしていれば、入力をしなくても経費精算が終わる」と三村さん。これが2つ目の「入力レス」につながります。
3つ目は「ペーパーレス」。かつては電子帳簿保存法によって、経費精算をする際に原本である紙の領収書が必要でしたが、日本政府と財務省に働きかけをおこない、数年前に“(領収書を)スマートフォンで撮影した画像が領収書の代わりになる”と改正されました。
さらに昨年には“デジタル決済したデータが領収書の代わりになる”というもう一段階進んだ改正が実現しました。つまり、キャッシュレス決済で経費処理できれば、支払った情報が、カード会社など(決済した会社)から送られてくるので改ざんする余地がない」とメリットを挙げます。
4つ目は「承認レス」。会社のなかには、毎月経費を精算する際、経費精算書を作成して紙の領収書を貼り付け、これらを各部署の上司と経理が内容を確認した後、承認印を押すといった流れを取っている会社もありますが、きちんとした承認フローが運用できていない実態も垣間見られる。
そこで、「SAP Concurの不正検知の機能で、違反や不正がないかをチェックしようと。SAP Concur上で違反や不正のないクリーンな経費だと見なされると、管理職による承認をスキップできる」という仕組みを確立することでガバナンスを強化しつつ効率化を実現します。
そして、5つ目は「運用レス」。システム管理やレポート作成業務をBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)で対応することで、大幅な業務効率化を図り、管理業務を削減します。このように、Concurは生産性の高い業務に集中できる体制づくりの一助となっています。
◆「働きがいのある会社」ランキング5年連続1位の理由
Great Place to Work Institute Japan(GPTWジャパン)の「日本における働きがいのある会社ランキング」にて、コンカーは5年連続1位(中規模部門・100~999人)を獲得しています。しかし、三村さんが代表取締役社長に就任した2011年当時は、「業績が低迷していて、社員同士もお互いに信頼し合えない、非常によどんだ空気の会社だった」と振り返ります。
そんな状況を打破しようと、「まずは私の夢やビジョンを社員と共有した」と三村さん。それは“5年後に「働きがいのある会社」ランキングで1位になること”と、外資系企業ということもあり、本国のアメリカは抜けなくても“アメリカ以外で業績1位になること”。
この2つの目標を掲げて、社員一丸となって目標を追い求めた結果、「5年後に『働きがいのある会社』ランキングで1位になることができ、業績もアメリカに次いで2位になることができた」と語ります。
また、三村さんにとってコンカーが初めての社長業でした。IT企業、とりわけ外資系企業は業績主義であることが多く、結果が出ないと数ヵ月でクビということもあるため、「就任したばかりの頃は私も業績主義に走ってしまい、その結果、悪いスパイラルに陥ってしまった」と回顧。
そこで三村さんは、あえて業績主義にならないように「自分に対する戒めという意味でも“働きがい”に着目した。働きがいと業績主義は、ある種正反対のように見えるが、並行して追いかけることによって良いスパイラルが生まれるんじゃないか、という仮説を立てて取り組んだ」と言います。
コンカーが掲げる働きがいは「社員が成長を実感すること」。そのため、社内では“高め合う文化”という考え方を推進しているそう。
例えば、“フィードバック活動”という取り組みは、社員同士が建設的にフィードバックしあうことで、お互いの成長を促すことを奨励しています。さらに、フィードバックの対象は“上司から部下”に限らず、「“部下から上司”“他部門の同僚や上司”ときには一般社員から社長の私にもフィードバックされることがある」と言います。
こうすることで、社員一人ひとりがお互いのことに関心を持つようになり、「フィードバックを聞くことは耳が痛いですけど、そういった声に真摯に向き合うと成長を実感できる。そして、その経験を得られると、自分も他者にフィードバックしようというモチベーションが生まれて、良い風土や空気ができあがる」と解説。
このような取り組みもあり、「働きがいのある会社」ランキング5年連続1位を獲得するほどの会社に育てた三村さんは、今では外部の企業から講演の依頼があるほか、著書「最高の働きがいの創り方」(技術評論社)を発刊するまでに。「ある企業では、この本を管理職全員に配布して『コンカー改革』と銘打ち、働きがいの取り組みを推進している企業も出てきているそう」と、その反響ぶりを語りました。
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■株式会社コンカーについて
世界最大の出張・経費管理クラウド SAP Concur の日本法人で、2010年10月に設立されました。『Concur Expense(経費精算・経費管理)』・『Concur Travel(出張管理)』・『Concur Invoice(請求書管理)』を中心に企業の間接費管理の高度化と従業員の働き方改革を支援するクラウドサービス群を提供しています。
コンカーの詳細については
Webサイトをご覧ください。
次回11月12日(土)の放送は、富士通株式会社 執行役員SEVP JapanリージョンCEOの堤浩幸(つつみ・ひろゆき)さんをゲストに迎えてお届けします。日本を代表するITサービス企業・富士通の歴史や現在取り組んでいる事業について、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年11月13日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/