ミュージシャン、デザイナー、作家、俳優、職人など、異なるフィールドを舞台に活躍する“ふたり”が語らうTOKYO FMの番組「三井ホーム presents キュレーターズ~マイスタイル×ユアスタイル~」。
今回のゲストは、桐島かれんさん(モデル)×内田也哉子さん(文筆家)。ここでは内田さんが、亡き両親・樹木希林さん、内田裕也さんへの思いを語りました。
内田也哉子さん、桐島かれんさん
桐島さんのお母様といえば、作家の桐島洋子さん。そして、内田さんのお母様は、3年前に亡くなった俳優の樹木希林さん。型破りで自分らしい生き方は、多くの女性たちに勇気を与えていますが、お二人にとってお母様の存在はどのようなものだったのでしょうか?
◆両親を見送って…
桐島:也哉ちゃんは1年間で一気にお父様とお母様を亡くされて。
内田:そう、半年おきだったからね。
桐島:それまでママとパパに振り回された人生だったと思うけど、お二人がいなくなったとき、也哉ちゃんはどうなってしまうのだろう……と。
内田:突然、立て続けで、もう何が何だかわからなくて。忙しさで気持ちが紛れていたけど、その後、体にどっといろんな病気の症状が出て。やっぱり心と体は表裏一体で、心が壊れて傷ついているから、「もう少しちゃんと、自分が心地いいひとときを作っていけば、体も立て直せるかな」と思って。だましだまし、いろんな良いとされることに挑戦したら、なんとなく戻った。
でも、他界して3年過ぎたぐらいでようやく「私はここからちゃんと1人で歩いて行ける」と、まだ確信とまではいかないけど、気配がしてきて。でも、それまではかなり引きずった。それなりに、“やらなきゃいけないことをやっていた風”だけど、今思えば、ちょっと不安定だったな。
でも、やっぱりいろんな影響を両親から受けすぎたから。重荷もあれば宝物もあったし。それを、ここからは自分のなかで、川で金を探すではないけど、ザルに入っている砂利やいろんなものを濾していって、「もしかしたら、小さいけどキラッとしたものが残っているかも?」という作業をしていくのかな。
もっと、生前、父のことを知りたかったし、裕也っていう人の魅力を直に感じたかったけど、今となっては果たせないから。まだご両親がご存命だったら、恥ずかしいとか、忙しいとかいろんな気持ちを全部差し置いて、お茶を飲むだけでもいいし、物理的に自分で歩み寄らないと、そういうひとときは持てない。今でも後悔はたくさんあって、自分からどんどん接近していけば良かったのだけど、自分のなかの恐れとか、不安とかに勝てなかった。
母にもべったりではなかったし。晩年は、私がイギリスに住んでいて遠距離でちょっとしか会っていなかったけど、そういう短い時間のなかでも濃いひとときを持てたと思うから。親が老いていくのは当然のことだし、いつかもちろん離れ離れになる。かれんさんのお母様が、こうして元気でそばにいらっしゃるのはとても素晴らしいこと。
桐島:でも、もう母も85歳だから。
内田:すごいなぁ。どうか、まだまだかけがえのない時間を過ごせますように。
*桐島かれんさんの著書「大人のおしゃれ手帖特別編集 桐島かれんの緑のある暮らし Life with Plants」は、宝島社より発売中です。
*内田也哉子さんと脳科学者の中野信子さんが家族をテーマに語り合った「なんで家族を続けるの?」(文春新書)が、文藝春秋より発売中です。
*「2020年本屋大賞」を受賞した凪良ゆうさんのベストセラー小説を、広瀬すずさん・松坂桃李さんのW主演で映画化した「流浪の月」。内田也哉子さんも出演する同作は、現在全国ロードショー中です。
▶▶番組Webサイトでは、この記事の放送内容をPodcastで配信中です。
次回8月5日(金)放送のゲストは、水野良樹さん(いきものがかり)×狩野英孝さん(お笑い芸人)です。お楽しみに!
<番組概要>
番組名:三井ホーム presents キュレーターズ~マイスタイル×ユアスタイル~
放送日時:毎週金曜 17:00~17:25
ナビゲーター:田中麗奈
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/curators/