青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。8月21日(日)の放送では、外務省 アフリカ部参事官の宮下匡之(みやした・ただゆき)さんに、「日本のパートナー 成長大陸アフリカ」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、宮下匡之さん、足立梨花
◆ダイナミックに成長を遂げているアフリカの国々
アフリカ大陸は、日本から約1万km以上離れたところに位置する54ヵ国を有する大きな大陸で、面積も日本の約80倍、アメリカと比べても3倍も大きい大陸です。しかし、アフリカというと十分な医療や教育が受けられない貧しい国が多いことや、紛争があったり、住む場所を追われた避難民や難民がいる、というようなことを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実際、アフリカ大陸は貧困で苦しんでいたり、情勢が不安定な国や地域が多いことは事実です。しかし、私たちが抱いているイメージとは違う一面を持っています。
例えば、チョコレートの原料となるカカオ豆の約80%はガーナからの輸入で、携帯電話やスマートフォン、LED照明、自動車の排気ガス浄化装置など、日本の主要産業に不可欠な素材であるレアメタルのなかでも、プラチナ、マンガン、バナジウムなどは、多くのアフリカの国々から輸入されています。
近年アフリカ経済はダイナミックに成長していて、宮下さんは「21世紀に最も経済成長を実現している地域の1つがアフリカ」と話します。例えば、ケニアでは2017年から「ナイロビ新幹線」と呼ばれる高速鉄道が走っているほか、携帯電話保有率は100%を超えているとも言われ、「『M-Pesa(エムペサ)』という電子マネーサービスも広く活用されています。モバイル決済については、日本より進んでいるのではないか」と話します。
M-Pesaとは、銀行口座を所有していない人でも、携帯電話と身分証明書さえあれば送金や受け取りなどのモバイル決済ができるというもの。ケニアでは、2007年からこのサービスが広がっており、多くの店で支払いの際に利用されているだけでなく、このシステムで預金やローンを組むことも可能です。
なぜケニアでモバイル決済の普及が早かったのかというと、「“LEAPFROG(リープフロッグ)現象”が起こったから」と宮下さん。LEAPFROG現象とは、先進国が辿ってきた道を1つずつ辿るのではなく、カエルが宙を飛ぶように、現状から一気に世界最先端の技術を利用するという現象です。
先進国では、新たな技術やアイデアが生まれても、さまざまな規制があって普及までに時間がかかるケースがあるものの、「アフリカでは、そうした規制がそれほど厳しくないため、便利なものは一気に広がりやすい」と解説。つまり、アフリカは“ビジネスを始めやすい地域”とも言えます。そして、アフリカは“天然資源の宝庫”です。プラチナやダイヤモンドといった貴重な鉱物をはじめ、産業のビタミンとも呼ばれるレアメタルも産出します。
さらに、アフリカ大陸の人口は現在13億人を超えており、世界全体で約6人に1人がアフリカ人という状況です。しかも、平均年齢は19歳ほどと若く、働き手も消費者も多い状況にあります。こうした背景もあって、「世界のさまざまな企業がアフリカに生産拠点を置き、マーケットとしてのアフリカに注目して経済をダイナミックに成長させている」と声を大にします。
実際に、日本からもさまざまな企業がアフリカへ進出しています。例えば、大手化学・日用品メーカーが、ウガンダのサトウキビを原料にしてアルコールの手指消毒剤の現地生産・販売を始めたり、大手食品メーカーは、セネガルに子会社を設立して加工用のトマトの栽培・仕入れ・販売をおこなっています。また、大手化学メーカーはアフリカ独特のヘアスタイルに注目。独自の人工毛髪の技術を活かしたエクステやウィッグの販売などで大きな収益を上げています。
◆スタートアップ企業もアフリカに進出
アフリカに進出しているのは大手企業ばかりではありません。アフリカ社会の課題解決に役立つビジネスを展開している「スタートアップ企業」も進出しています。アフリカは成長している国や地域がある一方で、いまだに電気や携帯電話の通信網が整備されていない地域があり、そうした未電化・未電波の村落へ電気と通信を届ける事業が展開されています。
例えば、あるスタートアップ企業では、簡単に整備できる太陽光発電設備と無線LANを搭載した通信装置を組み合わせた、独自の電力・通信設備の簡易キットを開発。西アフリカの村落に、これらのキットを普及させることで、夜間の診療所での出産リスクを軽減するといった事業に取り組んでいます。
また別の企業は、タンザニアで現地の小売店を介して、自社が開発した太陽光充電式のLEDランタンを、所得の安定しない一般消費者にレンタルしています。現地で普及する電子マネー送金サービスで利用料金を支払える仕組みで、必要なときだけ手軽に電気を手に入れられるサービスとして急速に成長しています。
さらに、日本の企業が出資したアメリカのスタートアップ企業では、ルワンダやガーナなどでドローンを使った血液や医療用品などの配達事業を展開しています。ルワンダは、主要な道路は整備されているものの地域によっては十分ではなく、車での輸送に時間がかかる地域も少なくありません。
そのため、飛行機型のドローンを開発し、独自の物流システムを構築して、最先端の医療サービスを提供しています。このビジネスモデルを逆輸入して、日本でも医療用医薬品をドローンで離島に配送するサービスが始まっています。
そのほか、日本人とウガンダ人の若者が共同で創業者となり、井戸の料金回収システムを開発したケースも。井戸が継続的に維持・管理される仕組みづくりをおこなうことで、住民がいつでも安全な水を得ることができる環境の実現を目指しています。
◆日本が主導の国際会議
そんななか、8月27日(土)、28日(日)の2日間にわたり、アフリカのチュニジアで「第8回アフリカ開発会議(TICAD8)」が開催されます。この会議は、日本とアフリカが持続可能な世界をともに創るべく、アフリカの開発について議論するためにアフリカ各国首脳陣などが集まるもので、1993年から日本が主導でおこなっている国際会議です。
新型コロナウイルス感染症がアフリカの経済や社会にも影響を及ぼすなか、国際的な連携が重要になっており、宮下さんは「日本としてTICAD8を通じてアフリカ自身が主導する発展を引き続き力強く後押しをして、ポストコロナを見据えてアフリカ開発の針路を示していく考えです。ぜひ、多くの日本企業、なかでも急成長を図るスタートアップにアフリカの今を知っていただき、アフリカでのビジネスに挑戦していただきたい」と呼びかけました。
足立は、今回のテーマを機に「“アフリカはビジネスを始めやすい国”であることを初めて知った。まだまだできることがたくさんあって可能性が広がっているなと感じた」とコメント。
青木は「TICAD8」に着目。「日本が主導しておこなっている国際会議を何としても成功させて、アフリカ諸国とも良好な関係をどんどん築いてほしい」と期待を寄せていました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2022年8月29日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/