笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。
11月15日(土)の放送は、10月21日(火)に開催された「DIGITAL VORN Conference 2025」内でおこなわれた学生ピッチコンテスト「VORN Challenge」に注目。登壇した4チームの代表者をゲストに迎え、それぞれのアイデアを披露していただきました。
(左から)中村颯さん、藤原涼輔さん、宮田優作さん、 長谷川虹さん、笹川友里
10月21日(火)におこなわれた「DIGITAL VORN Conference 2025」のなかで、IT・DX・AI技術を活用した革新的なアイデアを競う学生ピッチコンテスト「VORN Challenge」が開催されました。今回は全29チームのなかから予選を勝ち上がり、VORN Challengeに登壇した4チームの取り組みを紹介します。
◆コンポストのコミュニティアプリを開発
最初に登場したのは、東京科学大学 修士1年で、長谷川虹(はせがわ・なな)さん。アグリテック(「農業」と「テクノロジー」を組み合わせた造語)をテーマに活動するチーム「ミグリー」で開発したコンポストコミュニティアプリ「Recoco(リココ)」を発表しました。
こちらは、コンポスト(微生物の力を使って生ゴミなどを分解させ、堆肥を作ること)を活用するユーザーと、堆肥を必要とする農家をつなぐ“堆肥のマッチングアプリ”です。笹川が開発のきっかけについて伺うと、長谷川さんは、高専時代からコンポストの研究を続けているそうで、「コンポストを使っている人とお話をする機会があったときに、できた堆肥をどう使おうか悩んでいる方が多くいらっしゃったので、それを解決できるアプリを作れないかと思って考案してみました」と振り返ります。
続けて、「まずはコンポストを活用している方に“便利だな”と感じてもらいたいです。そして、環境保全をテーマに活動されているインフルエンサーの方にも使っていただいて『いいなぁ』と思ってもらえるとうれしいです」とこの先の展望を語りました。また現在、同い年3人で設立した合同会社Migleeのリーダーも務めている長谷川さん。「事業化できたら本当にうれしいので、これからも頑張ります!」と意気込みを語ってくれました。
◆メンタルヘルスケア×学部適性診断
続いて登場したのは、慶應義塾大学 環境情報学部3年生の中村颯(なかむら・はやと)さんです。紹介するのは、教育現場のカウンセリングAI「HIBIKI.AI」です。これは、中村さんが「生活ノート」と呼ばれる日々の出来事や学習時間を記録するツールに着想を得て、メンタルヘルスケアと学部適性診断を融合させた新しい“心のプラットフォーム”です。
その内容について、中村さんは「生徒の方々に、あったことや学習時間などを毎日記録していくなかで“メンタル的に問題がありそう”といったものを見つけると、(AIが)カウンセラーさんに相談するように促してくれて、サービス内で連絡を取り合うような仕組みだったり、“ちょっとだけモヤモヤするな”というメンタルだったら、“自分が何でモヤモヤするのか”を理解するためのお手伝いをさせていただく、といったようなサービスになっています」と説明。
さらには、日々の感情や行動を記録し、蓄積していくことで、その生徒に合った学部も提案してくれると言い、「将来の不安を“学部の適性診断”という形で解消するというところで、メンタルヘルスケアの価値を生み出したのがこのサービスです」と話しました。
◆“歩く楽しさ”に気づけるアプリを提案
3人目に登場した東京理科大学 修士2年の藤原涼輔(ふじわら・りょうすけ)さんが開発したのは、「交通・移動・観光」をテーマに、ウォーキングを楽しみながら続けられるフィットネスゲームアプリ「Daadle(ダードル)」です。
このアプリは、現実世界の地図をフィールドに見立て、歩いた軌跡が“自分の陣地”として色付けされていくゲーム要素を取り入れており、「運動量がスコア化され、それが報酬としてユーザーに還元されます。その報酬は、例えば、その地域で使えるクーポンが発行されるなど、現実世界の報酬連動性とゲーム内での中毒性を取り入れたアプリとなっています」と紹介します。
また、開発までの経緯を伺うと「僕自身ランニングが大好きで、ランニングアプリで走ったルートをSNSに共有していたのですが、それを自分しかやっていないことに気付いて、そこで『ルートを記録する楽しさ』プラス何かがあれば、そのきっかをつくれるのではないかと思って作っていった感じです」と藤原さん。なお、このアプリは既にリリースされており、全国のエリアで楽しむことができます。
◆みんなで街を改善するプロジェクト
最後に紹介するのは、今回の「VORN Challenge」で見事優勝(優秀賞)に輝いた九州大学大学院 修士1年の宮田優作(みやた・ゆうさく)さん、羽田野武蔵(はだの・むさし)さんの作品で、作品名は「City share map:自治体のお困りごと可視化マップ」です。
「これは“市民と自治体をデータでつなぐデジタルインフラ”をテーマにしておりまして、自治体と市民で課題を共有可視化するマッチングアプリになっています。例えば、道路の陥没やマンホールの破損、上下水道のトラブルなどを市民が投稿して、それを見た自治体の方が実際に修繕修復に動いてもらうことで(投稿する)モチベーションにつながるような仕組みです。“みんなで街をよくしていこう”というコンセプトになっています」と宮田さん。また、現在は生活インフラの問題を中心に扱っていますが、「今後は教育や防災の分野にも発展させることのできるプロダクトになっているかなと思っています」と胸を張ります。
また、アプリ開発の背景には、市民も自治体も抱える“通報のしづらさ”や“業務の煩雑さ”があると宮田さんは言います。「例えば、(住民が)道路の陥没を見つけても『どこに通報すればいいんだろう?』と連絡先が分からなかったり、職員の方にとっても、現地に行かないと調査や対応する管轄が決められない、といったように双方にとって大変なところがある点が、最初の課題かなと感じていました」と語ります。
そして、改めて「道路の陥没を放っておくと、市民の命に関わる事故にもつながってしまう可能性もあるので“街を安全に保つ”という意味でも、重要なテーマになるかなと思っています」と未来を見据えました。
最後に、4組の取り組みを聞いた笹川は「本当にそれぞれ個性があって、意志もあって、話が面白かったです」とコメントしました。
次回11月22日(土)の放送は、ゲストに株式会社TOKAI、DX推進事業部 理事 事業部長の田島義和(たじま・よしかず)さんをお迎えします。生活インフラサービスを提供するTOKAIのDXの取り組みなど、貴重な話が聴けるかも!?
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/