作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの音楽番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。7月31日(日)の放送は「村上RADIO ~猫山さんセレクト・猫づくしの音楽~」をお届けしました。
幼い頃から、家にはいつも猫がいたという愛猫家の村上春樹さんが、「村上RADIO」にしばしば登場する猫のキャラクター「猫山さん」がセレクトしたという設定で、「猫」に関連する楽曲を集め、「猫の音楽特集」をお送りしました。
この記事では中盤3曲について話した概要を紹介します。
◆Laura Nyro「The Cat-Song」
ローラ・ニーロの「キャット・ソング」。猫の名前はエディー、雄猫ですね。
ピアノと歌はローラ・ニーロ、ギターはジョン・トロピー、ベースはウィル・リー、ドラムズはクリス・パーカー、サックスとトランペットはブレッカー・ブラザーズ、当時の最強メンバーです。
◆Donald Fagen「Morph The Cat」
ドナルド・フェイゲンが歌います。「モーフ・ザ・キャット」。
モーフ、不思議な名前の猫ですね。でもこれは本物の猫ではありません。フェイゲンさんの造語です。ニューヨーク・シティーの上にぽっかり浮かぶ、猫みたいな形をした幽霊みたいな物体、それが猫のモーフです。そいつが下界に降りてきて、ニューヨークの隅々、いろんなところに染みこんでいきます。モーフ・ザ・キャット、ニューヨークという街のスピリットみたいなものなんですね。
この話は前にどこかでしたことがあると思うんだけど、僕が昔飼っていた雌猫は、全部で5度お産をしたんですが、ちょっと変わった猫で、僕の膝の上でしかお産をしないんです。陣痛が始まると、僕のところに来て、僕の目をじっと見るんです。手を握ってやると、そのまま僕にもたれかかるようにしてお産をします。
しょうがないから僕が、出てくる子どもを一匹いっぴき取り上げて、胎盤を取って、きれいに拭いてやって……みたいなことをします。お産が始まるのってなぜかいつも真夜中で、全部で4、5時間かかりますから、明け方までそれにずっとつきあってなくちゃなりません。これ、大変でした。産むほうも大変だろうけど、こっちももうくたくたです。でも、そこまで猫に信頼されると、しっかりこたえてやらないわけにはいかないですよね。
◆Bobby Darin「What's New Pussycat?」
ウディ・アレンが脚本を書いたコメディ映画「何かいいことないか子猫チャン」の主題歌です。トム・ジョーンズが歌ってヒットしましたが、ここではボビー・ダーリンが歌います。
この映画、ウディ・アレンのテイストとピーター・セラーズのコメディ演技の質がもうひとつかみ合わず、おまけに映画会社ができあがったフィルムを勝手に再編集したので、映画はかなり乱暴な出来になっていました。それでアレンさんは、かんかんに怒ったんですけど、それでもなぜか大ヒットしまして、これでウディ・アレンは一躍有名になりました。
主題歌の作曲はバート・バカラック。メロディーもコード進行も、かなり大胆というか、普通ではないユニークな趣向の歌作りですが、この当時のバカラックって、何をやっても見事に決まっていました。
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<番組概要>
番組名:村上RADIO ~猫山さんセレクト・猫づくしの音楽~
放送日時:7月31日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/