きゃりーぱみゅぱみゅがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ Chapter #0 ~Touch Your Heart~」。この番組では、きゃりーが自身の趣味や興味のあることについて語ったり、いま輝いているゲストをお迎えしたりしながら、さまざまなエピソードを1冊の本に見立て、紐解いていきます。9月4日(日)、9月11日(日)の放送では、漫画家の押見修造(おしみ・しゅうぞう)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
(左から)押見修造さん、パーソナリティのきゃりーぱみゅぱみゅ
★教室で絵を描いてばかりの子どもだった…
代表作に「惡の華」「血の轍」「ぼくは麻理のなか」など、繊細な心情描写を特徴とする数々の名作を生み出してきた押見さん。今回は、番組初となる漫画家ゲストということで、漫画家を志したきっかけや、作品との向き合い方について聞きました。
幼稚園の頃から絵に興味があり、「外で遊ばないで、教室で絵を描いてばかりの子どもだった」と振り返ります。小学生になると、漫画家の見よう見まねで小さなノートに自己満足で漫画を描いていたという押見さん。小学校高学年の頃には、学校の先生を題材にしたギャグ漫画を描くようになり、卒業文集の将来の夢の欄には「ギャグ漫画家になりたい」と書いたそう。
大学生時代、“漫画家になりたい”という思いを抱き続けていたものの、何を描けばいいのかわからず3年が過ぎてしまい、4年生のときにようやく描き上げることができ、出版社に持ち込むことを決意。なんとその作品(「真夜中のパラノイアスター」)が月間の奨励賞を受賞し、「ものすごくうれしかった」と駆け出し時代を懐かしそうに振り返ります。
押見作品のなかでも、特に「血の轍」がお気に入りというきゃりー。本作はどのように着想を得たのか尋ねてみると、「取材などをしたわけではなくて、自分のなかにある、引っかかっていることや解決していないことをほじくり返そうという意思のもとに描いている感じ」と話します。
また、現実(リアル)とフィクションを比較すると、「現実のほうが突拍子もないことが起こる」と押見さん。フィクションで読者を驚かせようと思っても「頭の中で考えることなので、どうしても現実には敵わないというか、どれだけ現実に近づけられるか。人生のなかで地獄のような経験はしたことがないけど、本当に欲望していることや人の裏側が全部表に出てきたら“こうなっちゃうんじゃないか”、“現実でそれが本当に起こったらどうなるだろうか”ということをできるだけリアルに考えている」と作品との向き合い方を明かしました。
(左から)押見修造さん、パーソナリティのきゃりーぱみゅぱみゅ
★Chapter#0 Library★
ゲストが背中を押された作品を紹介してもらうコーナーで、押見さんがセレクトしたのは、佐川恭一さんの小説「舞踏会」(書肆侃侃房)。
愛の様式、冷たい丘、舞踏会、ひだまりの森、友情(浜大津アーカスにて)の5編が収録されており、なかでも「最近、愛の様式にとても感動した」と押見さん。
「30代半ばの中年男性が語り手で、結婚していて2歳ぐらいの女の子がいる3人家族で、その男性は奥さんに日々罵倒されているんですね。そのことを不満に思いながら生きていて、主人公がただ自分語りするという話なんですけど……」とあらすじを説明し、「その生々しさというか、中年男性の情けなさやどうしようもなさ、ズルさがものすごくリアルに書かれていて、“こんな作品は初めて読んだな”って。現実の本質的なものを抽出したような作品が好きですね」とその魅力を語りました。
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あらためて、2週にわたる押見さんとのトークを振り返り、きゃりーは「まずは押見さんとお会いできて、めちゃくちゃうれしかった」と喜びもひとしお。
「自分が読んだ作品についてもお話ができてうれしかったですし、どんな人なんだろうっていうのが、ここ最近、自分のなかで一番気になるチャプターだったので、たくさんお話ができてよかった」と感激しきりでした。
<番組概要>
番組名:CHINTAI presents きゃりーぱみゅぱみゅ Chapter #0 ~Touch Your Heart~
放送日時:毎週日曜 12:30~12:55
パーソナリティ:きゃりーぱみゅぱみゅ
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/heart/