青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。8月28日(日)の放送では、農林水産省 農産局 穀物課 米麦流通加工対策室長の葛原祐介(くずはら・ゆうすけ)さんと、同省のBUZZ MAFF YouTuber・大島沙央里(おおしま・さおり)さんに、「今こそ注目! 進化するお米の世界」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、大島沙央里さん、葛原祐介さん、足立梨花
◆もっとお米を食べよう!
食料品の価格が全般的に上昇するなか、お米の価格は安定しています。その理由として、食生活の変化によりお米の消費量が減ってきていることに加え、新型コロナウイルスの影響で外食する機会が減り、飲食店でのお米の消費量が減少しているなか、ここ数年のお米の生産量が多いため、購入しやすい価格になっているのが現状です。
日本は、食べ物の多くを輸入に頼っている食料自給率が低い国です。日本のカロリーベースの食料自給率は、1965年は73%でしたが、2000年度以降は40%前後を推移しており、2021年度は38%となっています。
こうした状況下で、輸入先で異常気象が起こったり、感染症や戦争などで国際情勢が不安定になって輸入がストップしてしまった場合、十分な食料を確保できなくなるなど、大きな影響を受ける可能性があります。実際に今年は、異常気象による農産物の不作や新型コロナウイルス、ウクライナ情勢などが要因で多くの食料品が値上がりをしています。
そんななかでも、「お米は国内で唯一自給可能な穀物なので、私たちのこれからの食生活を守るためには、もっとお米を食べて食料自給率の向上を目指すことも重要」と葛原さん。さらに最近はSDGs(持続可能な開発目標)の観点からも食料自給率を上げることが求められていることから、「日本の食料自給率が上がって食品の輸入量が減れば、そのぶん世界の食料に余裕が生まれ、途上国の人々も食料を買いやすくなる可能性がある」とメリットを挙げます。
しかし、今の日本人は昔に比べてお米を食べなくなったと言われており、1965年は1人あたり1日お茶碗5杯ほどのご飯を食べていたものの、2020年はその半分以下に減っています。
一見、ご飯離れが進んでいるのは“若者が食べないからだ”と思いがちですが、実は20代の若者よりも40代以上の中高年者のほうがお米を食べていないのが実情です。近年の若者は、学校給食でお米を食べる習慣が身に付いていることもあり、20代になってもほぼ毎食お米を食べている方が約4割いることが分かっています。
一方、40~50代でほぼ毎食お米を食べている方は2割ほど。その理由の1つとして、中高年者になると代謝が落ちるため、適度に運動しないとメタボリックシンドロームなど生活習慣病になってしまう恐れから“太らないように”と食事制限をしようとすると、「ご飯=炭水化物、炭水化物=太る」と思い込んで、ご飯を制限している人も少なくありません。
しかし、日本の食生活の変化に目を向けると、1965年から米の消費量は減っている一方で、脂質の摂取量は増えています。このことから、葛原さんは「健康面を意識されるのであれば、なおさらお米を中心とした日本型の食生活がおすすめ」と声を大にします。
日本型食生活とは、ご飯を主食としながら、主菜、副菜に加え、適度に乳製品や果物が加わった栄養バランスのとれた食事のこと。「ご飯は脂質が少なく、さまざまなおかずとも相性が良いので、バランスの良い献立が作りやすい。日本が世界有数の長寿国である理由は、こうした優れた食事内容にあると国際的にも評価されている」と解説します。
◆「進化するお米を紹介!」
農林水産省は、YouTube公式チャンネル
「BUZZMAFF ばずまふ」を開設しています。このチャンネルの内容について、大島さんは「職員自らが、担当業務にとらわれずに、それぞれの個性を活かして日本の農林水産物の良さや農林水産業、農山漁村の魅力を発信している」と説明。BUZZ MAFF YouTuberとして活動する自身も「お米の魅力などを発信している」と言います。
そこで、近年ではさまざまな機能を有するお米がたくさん出回っていますが、そのなかでも特徴的な「進化したお米」をいくつか紹介していただきました。
◆進化したお米①「ロウ層を取り除いた玄米」
玄米というと、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれていることで知られていますが、白米よりも水を吸収しにくいため、炊飯に時間がかかり、独特の匂いや食感などから“食べにくい”と感じる方もいます。
この食べにくさは、玄米の表面にあるロウと呼ばれる層によるものですが、「このロウ層が取り除かれているので食べやすい。しかも、玄米の栄養はそのまま」と大島さん。また味わいは「食感や食べ応えも良く、普段の食事でも取り入れやすいと思います」と太鼓判を押します。
◆進化したお米②「巨大胚芽米」
こちらは、通常のお米と比べて胚芽(お米の芽になる部分)が2~3倍も大きく、ビタミンEなどが豊富に含まれているのが特徴です。また、発芽玄米や発芽米と呼ばれるお米は玄米を発芽させたもので、発芽させた玄米は硬い外皮が柔らかくなるため食べやすく、GABA(ギャバ)などの成分も含まれているため、健康の観点からも注目されています。
巨大胚芽米を試食したことがあるという大島さんは、「絶妙なもちもち感で、お米の香ばしい香りがします。白米に近い食感なので、おにぎりなどにオススメ」と説明。玄米に食べにくさを感じている人に向けて、「これらの新しい玄米をぜひ試してみてほしい」と話します。
◆進化したお米②「プリンセスサリー」
こちらは、南アジアの最高級米と言われるバスマティ米を日本で栽培できるように改良した品種です。カレーなどに合う細長い形の長粒種と呼ばれるお米で、大島さんは「炊くと茹でた枝豆やポップコーンのような香りがする」と説明。
また、日本のお米は粒が短い短粒種でもちもちとした食感が特徴なのに対して、プリンセスサリーは、短粒種と長粒種の両方の特徴を併せ持った品種で「パラパラしているのでチャーハンやアジア料理に使いやすいですが、パラパラのなかにも、日本米のようなもちもちとした食べやすさが残っています。このお米は本当に枝豆のような匂いがします!」と解説します。
最後に葛原さんは、「今回は、お米にまつわる食料自給率やSDGs、日本型の食生活、そして、進化しているお米のお話をしましたが、お米を作っている水田は、洪水や土砂崩れを防ぎ、多様な生き物を育むなど、さまざまな役割を果たしています。また、水田風景は美しく、私たちの心を和ませてくれる日本が誇る財産です。これからお米は収穫の時期を迎えますので、身近なお米を新たな視点を持って味わってみると、さらにおいしく楽しめるのではないでしょうか」と話しました。
“白米好き”という足立は「こんなにもいろいろな種類のお米があることを初めて知った」と驚きつつ、「これから自分に合うお米を探していきたいですし、いろいろなお米を試してみたい」と興味を示します。
青木は、2021年度の日本の食料自給率38%という現状に触れ、「食料自給率向上のためにも、もっとお米を食べようと思った」と感想を述べました。
(左から)青木源太、足立梨花
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/