青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMのラジオ番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」(毎週日曜 7:30~7:55)。12月4日(日)の放送では、金融庁 マネーローンダリング・テロ資金供与対策企画室長の萬場大輔(まんば・だいすけ)さんに「マネー・ローンダリング対策」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、萬場大輔さん、足立梨花
◆私たちにも無関係ではない“マネー・ローンダリング”
マネー・ローンダリングとは、犯罪や不当な取引で得た資金を、架空または他人名義の金融機関の口座を利用して、転々と送金を繰り返したりして、資金の出所を分からなくする行為のことです。犯罪や不当な取引で得た真っ黒なお金を、真っ白できれいな(合法的な)お金に変えるので「資金洗浄」、英語では「マネー・ローンダリング」(以下、マネロン)と言います。麻薬の売買や違法賭博、オレオレ詐欺などの特殊詐欺も、これに含まれます。
このような行為を野放しにしておくと、こうしたお金が資金源となり、さらなる犯罪につながる恐れがあります。また、正当な経済活動にも影響を及ぼす可能性もあるため、マネロン対策が必要となります。
実際に、アメリカ同時多発テロを実行したテロリストたちは、マネー・ローンダリングで得た資金を受け取ってアメリカ国内で生活し、飛行機操縦学校に通っていたと言われています。そのため、「テロリストはもちろん、殺戮兵器を開発していると疑われているイランや北朝鮮にも、その開発資金となるようなお金を渡さないように、マネロン対策が必要になる」と萬場さん。
こうした背景からも、マネロン対策は日本、そして国際社会がともに取り組まなければならない課題と言えます。また、1つの国だけがマネ-・ローンダリングの規制を強化しても、他の規制の緩い国が抜け道になってしまいます。
それを防ぐため、1989年にFATF(金融活動作業部会)という多国間枠組みが設立されました。FATFでは、マネロン・テロ資金供与等対策の国際基準を作っており、現在、世界で200以上の国・地域に適用されています。また、基準を作るだけでなく、基準に則り、加盟各国が実際に有効なマネロン対策をおこなっているかどうかなどについて、お互いに審査し合う仕組みを設けています。
日本は、FATFの設立メンバーとして、世界のマネロン対策をリードしていくべき存在ですが、2008年に3回目のFATFの審査を受け、その改善対応を進めていたものの、2014年に「マネロン対策に遅れが見られるので、迅速に改善するように」と指摘されました。
そこで、日本の政府や各金融機関がマネロン対策を進め、4回目となる昨年8月の審査結果では、「日本のマネロン対策が一定の成果を上げていることが認められたものの、対策をさらに向上させるために、金融機関に対する監督・検査など、いくつかの項目について、さらにしっかりと取り組むことが必要とされました」と萬場さん。
マネロン対策の国際基準は、常に最新のものにアップデートされているため、「日本もしっかり対策をおこなわないと、次回の評価はもっと厳しいものになる」と案じます。
◆さまざまな手口でおこなわれるマネー・ローンダリングの実情
FATFから「マネロン対策に不備がある」と評価された国は、外国の金融機関との決済で、通常よりも時間を要するなどの弊害が生じ、その国の貿易や経済に悪影響が出てしまう可能性があります。だからこそ、政府や金融機関はマネロン対策を実施しなければなりません。つまり、金融機関に口座を持っている私たち一人ひとりにも関係しています。
というのも、「日本では、オレオレ詐欺などの特殊詐欺が多発しているほか、インターネットバンキングで“知らないうちに他人の口座に現金が振り込まれてしまった”というような不正送金事犯が確認されている」と萬場さん。
実際、来日外国人グループによるインターネットバンキングの不正アクセスに関わる不正送金事犯も確認されており、「これらの事犯では、架空の口座や他人名義の口座を利用するなど、さまざまな手口を使ってマネー・ローンダリングがおこなわれている」と現状を語ります。
このように、犯罪組織やテロ組織は、一般利用者に紛れて気づかれないように取引をおこなおうとするため、これを防ぐためには「金融機関が、口座を所有しているお客さまの情報を継続的に確認することが必要になる」と言います。
ひと昔前の日本では、比較的簡単に口座を開設することができたため、1人で複数の口座を所有している人もいました。なかには、ほとんど使用しないまま放置されている口座を売却する人もいたとのことで、「“口座の売買”は犯罪ですので、絶対にやめてください」と強調。こうして売買された口座やパスワードを盗まれて乗っ取られた口座は、犯罪組織に悪用されてしまいます。
そうしたことを防ぐためにも、「金融機関では取引の内容や状況などに応じて、個人や法人の利用者に『お客さま情報ご提供のお願い』や『お取引目的等確認書』などといった郵便物を送付して、利用者情報や取引の目的について定期的な確認をおこなっている」と言います。
その確認書類には、名前や生年月日、職業、勤め先の住所などを書き込む欄のほか、取引目的として口座を何に使うのかについて、生計費の決済、事業の決済、給与受け取り、年金受け取り、貯蓄、資産運用をチェックする項目などがあります。
これらの回答から、金融機関が日ごろの取引状況を把握することで、急に大金が振り込まれたり、海外に大金を送るなど、通常とは明らかに違う取引があれば、不審に思って確認することができます。なお、回答方法は、“郵送で返送する”“Webサイトから送信する”“窓口へ提出する”など、金融機関によって異なります。
改めて、萬場さんは「銀行などの金融機関から、お客様に登録いただいた“お客様情報”“お取引の目的”などを確認するための郵便物が届く場合があります。これは、利用者一人ひとりの情報を更新することで、一般の利用者に紛れてマネー・ローンダリングなどをおこなおうとする犯罪者を見逃さないためであり、さらなる犯罪やテロ行為を抑止する、ひいてはみなさまの資産や安全を守るために重要なことです。金融機関からお客さま情報の確認を求められた場合は、ぜひご協力をお願いします」と呼びかけました。
足立は、「金融機関から届いた書類には、すぐに目を通さないといけないんだなと改めて実感した。重要な書類なのですぐに目を通して、自分でできることはやるべきだなと思いました」とコメント。
青木は、犯罪組織やテロ組織は、一般利用者に紛れて気づかれないように取引をおこなおうとする点に着目し、「私たちが平穏な暮らしを送るためには、(口座を悪用されるのは)恐ろしいことなので、自分の持っている口座はしっかり管理したいなと思いました」と話していました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2022年12月12日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/