TOKYO FMで月曜から木曜の深夜1時に放送の“ラジオの中のBAR”「TOKYO SPEAKEASY」。今回のお客様は、LUNA SEA、X JAPANのSUGIZOさんと宇宙飛行士の山崎直子さん。ここでは、SUGIZOさんが、地球を生で見たときのことや宇宙空間での生活などを、山崎さんに質問しました。
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(左から)SUGIZOさん、山崎直子さん
◆山崎直子が宇宙飛行士を目指したきっかけ
SUGIZO:僕、山崎さんにすごく感銘を受けたことがあって。山崎さんの(宇宙飛行士になる)重要なきっかけが「チャレンジャー号(の爆発事故)」なんですよね?
山崎:はい。
SUGIZO:あれは、僕も中3か高1のときで、リアルタイムで見ていたんですよ。
山崎:私も見ていました。打ち上げで事故になってしまって。
SUGIZO:本当に衝撃でしたね。そこで山崎さんは決断をされたということですか?
山崎:そうなんですよね。それまでは、“宇宙”ってSFのような、それこそアニメの世界のように思っていたのが、本当に宇宙開発ってあるんだなって。また、(チャレンジャー号の爆発は)衝撃的な事故ですけれども、それを乗り越えて頑張っている人たちがたくさんいるんだなって。むしろ、完璧じゃなくて、不完全なものを乗り越えていっているんだな、っていう現実がすごく伝わってきました。
SUGIZO:それがきっかけで、NASAに入りたいと思われたのですか?
山崎:そうですね。NASA、あるいは、日本で宇宙開発をおこなっているところに行きたいと思いました。
SUGIZO:その当時は、まだJAXAはなかったんですよね?
山崎:宇宙開発事業団って呼んでいたんですよね。
SUGIZO:JAXAになったのは2003年ですよね?
山崎:よくご存じで!
SUGIZO:JAXAファンなので(笑)。
山崎:ありがとうございます(笑)!
◆初めて地球を見た感想は…?
SUGIZO:(JAXAでは)「きぼう」の設計とかに関わられたんですね。
山崎:そうなんです、これもたまたまなんですけれども。国際宇宙ステーションの(一部として)日本が作った「きぼう」日本実験棟のプロジェクトチームに配属になりまして、面白かったですよ! 私が入ったときは、まだドンガラ(鉄板がむき出し)みたいな状態だったんですよね。窓が目のように2つ開いていて、そこにケーブルとか配管とかを付けている段階で。なんだか人造人間を作ってるような、そこに魂を入れ込んでいるような。
SUGIZO:僕からすると、その段階からSF的でものすごくたまらないです(笑)。
山崎:職人魂というのがすごかったですね。
SUGIZO:今も実際に「きぼう」は活用されているんですか?
山崎:はい、国際宇宙ステーションのなかでも一番大きいモジュールですね。
SUGIZO:それを作られていたなんて……すごいな。今僕は、国際宇宙ステーションの重要なパーツを作った方とお話しをしているんですね。
山崎:実際に作ったのはメーカーさんなんですけれども(笑)。でも、私もそれを組み立てて、インテグレーションしていったので、本当に思い入れがあります。
SUGIZO:実際に(宇宙に行って)国際宇宙ステーションでお仕事されたときも、そういう組み立て関係の?
山崎:そうなんです。すでに「きぼう」はあったんですけれども、私は「レオナルド」というイタリア製の補給モジュールを持って行って、(国際宇宙ステーションに)くっつける作業をしていました。
SUGIZO:それは地球を見おろしながらですか?
山崎:そうなんです! 船内でロボットアームを操作するんですけど、その背景に地球が見えるんです。
SUGIZO:どうなんですか? 地球を外から初めて見たときの感覚って。
山崎:打ち上がって8分30秒後に400km上空の宇宙に到達するんですよね。そこで初めて見たときの地球が、真上、頭上にあったんです! スペースシャトルのコックピットは、地球の下に向かって進んでいるので、頭上に仰ぎ見る形で地球が見えたんですけど、(地球を見た瞬間は)“あれ? 400km上空まで(上に向かって進んで)いたのに、今なんで自分が下にいるんだろう?”ってビックリしました。
SUGIZO:地球を見上げている形になったんですね。
山崎:そう、これこそ無重力だなって。
◆SUGIZO 宇宙に行く際の心配事とは?
SUGIZO:それから、15日くらい滞在したんですよね?
山崎:そうですね。
SUGIZO:ずっと地球を見ながら仕事を船内でされていて、その(無重力の)感覚には慣れましたか?
山崎:最初は(無重力に慣れなくて)ジタバタしながら動くんですけれども、だんだん慣れてくると、指1本で壁をちょっと押すだけで、魚のようにスーッと(笑)。無駄な動きがなくなっていくんですよね。
SUGIZO:僕、宇宙にはすごく行きたいんですけど、2つ心配なことがあって。無重力のなかで、まず吐き気とかが出てこないのか。ゴボッて上がってくる感じはないですか?
山崎:実は、10人が宇宙に行ったとすると、6~7人くらいは宇宙酔いにかかるんですね。気持ち悪くなったり、吐いてしまう人もいて。ただそれも、日数が経てば、皆さん慣れていきます。
SUGIZO:そうなんですね。もう1つ心配なのがトイレなんですよ。
山崎:トイレは、行く前に(地球で)いっぱい練習します。
SUGIZO:練習しなきゃダメですか?
山崎:ええ。トイレは失敗すると大変なことになりますから(笑)。
SUGIZO:(笑)。でも、民間人全員が(宇宙でも)スムーズに成功するとは言えないじゃないですか。
山崎:実は、私たちのあいだでもときどき失敗する人がいます(笑)。それは、武勇伝として語り継がれてしまいますね。
SUGIZO:変な話、(用を足して)飛び散ったものがずっと目の前にある感じなんですか?
山崎:そうです、それを袋にしまいます。
SUGIZO:回収しなきゃいけないんですよね。
山崎:そうです。
SUGIZO:それを考えると、(宇宙旅行への道は)まだまだ難関ですね。トイレと宇宙酔いがね。
山崎:もうちょっと使いやすいトイレができるといいんですけどね(笑)。
<番組概要>
番組名:TOKYO SPEAKEASY
放送日時:毎週月-木曜 25:00~26:00
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/speakeasy/