杉浦太陽と松井玲奈がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより」(毎週日曜 7:30~7:55)。「学びと成長」をコンセプトに、毎回さまざまなゲスト講師をお招きして、明日の暮らしがもっと豊かになる情報や気になるトピックをひも解いて、今よりもちょっと成長することを目指す番組です。
6月14日(日)の放送テーマは、「記録の森へ行ってみよう! 国立公文書館」。独立行政法人国立公文書館 総務課の長野浩二(ながの・こうじ)さんから、国立公文書館の役割について話を伺いました。
(左から)松井玲奈、長野浩二さん、杉浦太陽
◆国の歴史を未来へ伝える公文書館
図書館や美術館は身近な存在ですが、「国立公文書館」を訪れたことがある方はまだ多くないかもしれません。国立公文書館の本館は、東京都千代田区の北の丸公園、皇居のすぐ北側に位置しています。また、茨城県つくば市に“つくば分館”があり、2029年には国会議事堂の近くに新たな公文書館が開館する予定です。
そもそも「公文書」とは、国などの公的機関に携わる人々が作成・取得した文書や図面、写真などを指します。歴史を伝える貴重な記録として国立公文書館が収集し、適切に保存していくとともに、一般公開もおこなっています。
例えば、元号が変わる際に、当時の内閣官房長官が掲げた「平成」や「令和」の書も、公文書として大切に保管されています。さらに、
「国立公文書館 デジタルアーカイブ」
というサイトでは、いつでも、どこでも、誰でも、自由に、無料で、貴重な資料をカラーのデジタル画像で閲覧することができます。
現在、国立公文書館が所蔵している文書は約178万点にのぼります。そのうち約50万点は江戸幕府から引き継がれた蔵書や、明治政府が収集した文献などからなる「内閣文庫」です。残りの約130万点は、明治以降、国の行政機関などが作成した公文書です。これらすべての資料を積み上げると、その高さはエベレストの8倍以上にもなるといいます。
とはいえ、時代が進むにつれて公文書も増え続けます。長野さんは、「毎年、新たに行政機関で作られる公文書は約300万点です。保管するスペースも余裕のある状況とは言えませんので、それぞれの機関で一定期間保管されたもののなかから、どれを歴史的に重要な記録として残すか、どれを廃棄するかを選別して、移管されたものが国立公文書館で永久に保存されます」と解説します。
その代表的な資料の1つが「大日本帝国憲法」です。黒田清隆内閣総理大臣を筆頭に、その署名欄には、当時、枢密院議長を務めていた日本の初代内閣総理大臣・伊藤博文や、外務大臣だった早稲田大学の創設者・大隈重信の直筆の署名が残されています。
特に大隈重信は、直筆の資料があまり残っていない人物として知られていますが、公文書には大臣として本人が記した署名が残されており、歴史上の人物の存在を身近に感じられる貴重な資料となっています。
◆「終戦の詔書」に残る戦時下の緊迫感
国立公文書館には、教科書で目にするような歴史的な出来事を、より身近に感じられる貴重な記録が数多く残されています。そのなかでも、当時の緊迫した状況を今に伝える公文書の1つが「終戦の詔書(正式名称:大東亜戦争終結ニ関スル詔書)」です。1945年(昭和20年)8月14日に発布されたこの公文書について、長野さんは「皆さんも、玉音放送はご存知だと思います。『堪え難きを堪え 忍び難きを忍び…』と昭和天皇により戦争の終結の決定が国民に伝えられたラジオ放送です。実は、あの玉音放送は『終戦の詔書』を読み上げたものです」と紹介します。
ポツダム宣言の受諾が決定された後、1945年8月14日に行われた閣議では、終戦の詔書案について検討がおこなわれました。本来であれば、閣議で内容が決定した後に正式な文書として清書されるものですが、議論が長時間に及んだことから、閣議と並行して清書も進められました。
その後も、閣議で文案の修正・追加が重ねられましたが、通常であればその都度、原本を最初から書き直さなければなりませんが、当時は書き直す時間さえありませんでした。用紙を削ったり、吹き出しを用いて文字を書き足すといった、異例の対応がとられました。長野さんは「この詔書からは、いかに時間がない切迫した状況のなかで作業が進められたかが分かります」と話します。
また、国立公文書館で開かれる展示会の様子について、「(展示されている)公文書をじっと見つめているお客さまがいらっしゃいます。もちろん文章も読まれていると思いますが、公文書が作成された当時の状況や、作成者の想いに心を馳せているようにも見えます。今の自分が当時の状況にいたらどうするだろう”と、当時の人たちと静かに対話をしているかのような、そんな印象を受けます」と語ります。
公文書から何を汲み取り、どう考えるのかは人それぞれです。だからこそ、過去の記録を未来へとつないでいくことが、国立公文書館の大切な役割となっています。
なお、国立公文書館では貴重な資料をより多くの人に知ってもらうため、常設展に加えて、さまざまなテーマ展示も開催しています。現在は、江戸時代のお祭りをテーマにした企画展が開催中(6月20日(土)まで)です。さらに、7月17日(金)~9月23日(水・祝)には、特別展「旅人は東を目指す―古典文学が描いた魅惑の東日本―」が予定されています。
さらに、館内の裏側を知ることができるバックヤードツアーも実施されています。学校などの団体向けだけでなく、個人でも参加できる企画があり、東京本館では事前申し込み不要の「ふらっとツアー」も開催。職員から、資料の修復作業や書庫の設備についての説明を受けることができます。夏休み期間中には、小学生の親子や中高生を対象にした特別な見学ツアーも予定されています。
最後に長野さんは、「公文書は、国民の皆さんで共有する大切な財産です。きちんと保存し、必要なときに活用できるようにすることは、公正で効率的な行政の実現に留まりません。を正しく、国がこれまでどのような判断を下してきたのかを、今の私たち、未来の世代に、きちんと説明することにもつながります。さらに、日本の歴史や文化、学術研究などを支え、『自分たちはどのような社会に生きているのか』を一人ひとりが主体的に考える手がかりにもなります。国立公文書館は無料で気軽に見学できますので、ぜひ一度足をお運びください。遠くにお住まいの方は『国立公文書館 デジタルアーカイブ』を通じて、公文書の奥深い世界に触れてみてください」と話しました。
番組のエンディングでは、杉浦と松井が今回学んだ「国立公文書館」について復習。2人が特に注目した点をピックアップして発表します。まず杉浦は“夏休みの自由研究や探究学習 大チャンス 国立公文書館”とスケッチブックに書きました。続いて、松井は“過去の記録を未来に 国立公文書館”と注目ポイントを挙げ、「国立公文書館について詳しく知りたい方は、
国立公文書館のWebサイト
をご覧ください。デジタルアーカイブや、見学ツアーの詳細などもこちらで確認できます」と呼びかけました。
(左から)松井玲奈、杉浦太陽
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<番組概要>
番組名:杉浦太陽・松井玲奈 日曜まなびより
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:杉浦太陽、松井玲奈
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/manabiyori/
番組公式X:@manabiyori_tfm