笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。7月30日(土)の放送は、株式会社レシカ CEOのクリス・ダイさんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)クリス・ダイさん、笹川友里
クリスさんは、2004年スタンフォード大学マネジメント科学・工学部卒、アクセンチュアジャパンに入社。ブロックチェーンのエバンジェリストであり、株式会社レシカの創業者及びCEO、株式会社UniCaskのCEOとしてブロックチェーンの技術・ビジネス動向の研究や情報発信などに取り組んでいます。
◆ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンといえば、仮想通貨(暗号資産)をはじめ、NFT(非代替性トークン)などさまざまな分野に用いられていますが、「簡単に言うと、インターネット上に価値を記録するものを、誰でもアクセスして誰でも書き込めるような形で作られた1つのインフラのIT技術です。“誰でも”と“改ざんができない点”が重要なところです」とクリスさん。例えば、仮想通貨において取引履歴が記録されていると取り消しや改ざんができないため、非常に安全でセキュア(頑丈)な管理が可能となります。
レシカでは、このブロックチェーンの技術を活用したサービスを展開しており、「特に、仮想通貨ではないほうの非金融的な応用ケースにおけるブロックチェーンとNFTの応用の実装をしている」と解説。自社におけるサービス提供のほか、「Web3.0(次世代の分散型インターネット)」でビジネス展開する企業のコンサルティングも実施しています。
◆画期的な新サービス「UniCask(ユニカスク)」
現在、レシカでさまざまなプロジェクトを進行しているなかでも「UniCask」に最も注力していると言います。これは、ウイスキー樽の所有権をNFT化して、スマホ1つで簡単に売買・保有・管理できるサービスです。
これまで、ウイスキー樽を個人で購入するには高額な費用がかかり、管理するのも大変でしたが、NFT化することによってウイスキー樽の小口販売を可能に。さらに、従来の100分の1ぐらいの価格で購入できるようになりました。
クリスさんは、「今までお金持ちしか買えなかったものを、一般の方たちでも買えるように“樽の民主化”を図った。我々が価値として売っているのは“時間”」と胸を張ります。
さらに、NFT化することで、ウイスキーの熟成期間も改ざんされる心配もないので、「(購入後に)10年間保有して自分で味わうもよし、保有しているあいだに(ウイスキー樽の価値が)値上がりして、手放したほうが利益になると考えたときに、いつでもNFTの市場のなかで販売できる仕組みになっている。NFT化によって流動性が生まれて、(ウイスキー樽が)一気にグローバルマーケットになった」と手応えを語ります。
さらに、このサービスは「消費者だけでなく、蒸留所の方にとっても非常にメリットがある」と明言。というのも、ウイスキーは瓶詰めする前に熟成期間を要します。例えば、12年もののウイスキーを発売する場合、樽で12年間熟成させてから販売するため、熟成期間は資金やコストを寝かせているような状態となります。つまり、商品化されて売上として対価が手元に入ってくるまでのキャッシュフロー(現金の流れ)が悪いのが難点でした。
しかし、「UniCask」の誕生によって、「樽にウイスキーを詰めた瞬間からユーザーに売れるようになったので、ユーザーもハッピーだし、蒸留所側もすぐにお金を回収できるようになった」と力を込めます。
◆今後の“デジタルの世界”について
クリスさんは「将来的に、我々はデジタルの世界に移住するのではないか」とその先を想像します。デジタルの世界は、「無限にコピーを作れるところが良さでもあり、デメリットでもある」としたうえで、「“有限なリソース(資源)は何か”というところに目を向けなければならない。有限なリソースというのは“人が時間をかけて見ているもの”だけ(が当てはまる)。つまり、人のアテンション(注意)しかない」と主張します。
そして、「それを取り込めるものが何かというと、個人のインフルエンサーやコミュニティ。そういったものが、“究極な価値”と言われる人間のアテンションをデジタルの世界で取り込むことができる。そこは、これから価値を作り上げる源泉的なものだと思っている」と力説します。
また、レシカがプロジェクトを進めるうえで、「実物資産と紐づけることで、わかりやすく個人に購入していただくことをモットーにしている」と語ります。「UniCask」のようなウイスキー樽のほか、別荘の利用権をNFT化したサービス「ANGO」も提供しており、これらを所有していることは「ゼロの価値にはならない」とクリスさん。
多様化してきたNFTは投機的な要素もあるため、「初心者の方は、最初の入口として、そうした“評価のしやすいもの”から入ったほうが安全策だと思う」と話していました。
次回8月6日(土)の放送は、株式会社ナナメウエ・代表取締役 石濵嵩博(いしはま・たかひろ)さんをゲストに迎えてお届けします。ナナメウエが運営するSNS「Yay!」についてなど貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年8月7日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/