アーティストの坂本美雨がお届けするTOKYO FM「坂本美雨のディアフレンズ」。9月28日(水)放送のゲストは、世界を舞台に活躍するサックス奏者・渡辺貞夫さん。毎年恒例のクリスマスコンサート「SHISEIDO presents Christmas Gift vol.29 Sadao Watanabe Orchestra『PEACE』」の開催を12月4日(日)に控える渡辺さんが、70年にわたるキャリアを振り返りました。
坂本美雨、渡辺貞夫さん
現在、89歳の渡辺貞夫さん。2021年には音楽活動70周年を迎えられました。
◆当時はクラリネットを吹いていた…!?
坂本:貞夫さんは、2021年が音楽活動70周年でした。お祝いはされましたか?
渡辺:イベントというか、コンサートツアーはおこないました。
坂本:音楽活動70年、想像もできないです。スタートは10代の頃ですか?
渡辺:高校を卒業する前、(地元の栃木県)宇都宮でクラリネットを吹いていたのですが、卒業してすぐに上京しました。そこから70年になるみたいですね。
坂本:最初はクラリネットだったんですね。サックスはいつ頃から始めたのですか?
渡辺:上京したときには、日本製の「タナベ」(田辺管楽器製作所)のサクソフォンを親父に買ってもらいましてね。ただ、僕が上京した当時はスウィングジャズがすごく人気がありました。
(当時、スウィング・ブームの中心で、ムーブメントをけん引したクラリネット奏者)ベニー・グッドマンがやっていたクラリネットのほうが、仕事があったわけですよ。サクソフォンを吹くチャンスは、上京して1年ぐらいの頃にありました。クラリネットが盗まれましてね。それでサックスに移った感じでもあるんですけど(笑)。
坂本:なんというきっかけ(笑)。その頃のお仕事はライブが中心ですか?
渡辺:ライブばかりですね。当時は米軍に接収されていましたから、米軍キャンプとか都内のクラブ、キャバレーとかでも演奏しました。上京してすぐのときは、銀座・松坂屋の地下に「オアシス(オアシス・オブ・ギンザ)」というダンスホールがありまして、昼間はダンスミュージックをクラリネットでやって、夜は銀座の並木通りの「ファンタジア」というキャバレーで演奏をしたりしていました。
坂本:まさに“歴史”ですね!
渡辺:上京した当時はけっこう忙しかったです。
坂本:昼も夜も演奏されていたんですね。
渡辺:仕事がオフの日は、夕方の東京駅の乗車口に行くんですよ。仕事が欲しいミュージシャンが集まっていまして、そこにマネージャーが来て「ピアノ!」「クラリネット!」「ドラム!」とかって言うと、みんなが「はい!」って手を挙げてね(笑)。即席バンドができて、トラックに乗せられて立川とか厚木とかの米軍キャンプに仕事へ行きました。
坂本:そういうシステムだったんですね!?
渡辺:夕方の東京駅の乗車口と新宿駅の南口は、仕事の欲しいミュージシャンのたまり場だったの。そんなところから始まりました。
坂本:(行った先で演奏する)音楽はリクエストに応える形ですか?
渡辺:リクエストっていうのはなくて、当時のポップミュージックやジャズのスタンダードとか。当時はね、(演奏場所に行くと)だいたいケンカが始まるんですよ。そうすると、みんなで「パディード」って曲をやるんです(笑)。
坂本:止めるのではなく、ノせるんですね(笑)!
渡辺:あとは、マジックショーとかタップダンスの伴奏とかもしていましたね。
坂本:70年間、ライブをやってきた歴史があるんですね。
*
12月4日(日)開催の「SHISEIDO presents Christmas Gift vol.29 Sadao Watanabe Orchestra『PEACE』」の詳細は、渡辺貞夫さんの
公式Webサイトをご確認ください。
<番組概要>
番組名:坂本美雨のディアフレンズ
放送エリア:TOKYO FMをはじめとするJFN全国38局ネット
放送日時:毎週月~木曜11:00~11:30
パーソナリティ:坂本美雨
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/dear/