青木源太と足立梨花がパーソナリティをつとめ、暮らしに役立つ情報や気になるトピックを深掘りしていくTOKYO FMの番組「青木源太・足立梨花 Sunday Collection」。11月6日(日)の放送では、水産庁 漁政部 加工流通課長の五十嵐麻衣子(いがらし・まいこ)さんに、「だから食べよう! 豊かな魚の国・日本」をテーマに話を伺いました。
(左から)青木源太、五十嵐麻衣子さん、足立梨花
◆年々“水産物の消費量”が減り続けている!?
日本は海に囲まれた国で、魚を食べる文化が根付いていますが、近年は“魚離れ”とも言われています。実際に、日本人の水産物の年間消費量は2001年度の約40kgをピークに減り続け、2019年度は2001年の約6割にまで減少。その一方で、インドネシア、中国などでは消費量が伸びており、主要国のなかでは日本だけが大幅に減少している状況です。
しかし、ある団体の調査によると、魚料理が「好き」「やや好き」と答えた人の割合は9割を超えており、子どもだけでなく、ほとんどの人は魚料理が好きであることが分かります。それなのに、なぜ日本では水産物の消費量が減少し続けているのでしょうか?
ある調査によると“魚は扱いにくい”“調理に手間がかかる”といったマイナスイメージが、家庭での消費にブレーキをかけているようです。しかし、水産物などに含まれるEPAやDHAなどの必須脂肪酸は、健康維持に大切な働きをするというプラスの特性もあります。さらに、水産物を摂取すると脳卒中、心臓病、肝臓がん、すい臓がん、認知症などの予防が期待できるという研究もあります。それだけ、魚を食べることは私たちの体に良い効果があると言えます。
また、南北に長い島国である日本の周りの水域は、寒流と暖流がぶつかり合っていることから、冷たい水を好む魚と温かい水を好む魚の両方が回遊・生息しています。日本の周りの海には約3,700種もの魚がいるとされているほど、世界でも有数の水産資源に恵まれた豊かな海がある国です。
五十嵐さんは「この豊かな海があることにより、古来より魚を食べる文化が根付き、地域ごとの特色を生み出し、さまざまな郷土料理や加工品が受け継がれている」と解説。そんな恵まれた海洋環境を有しているにも関わらず、日本は水産物の消費量が減少し続けており、特に2001年頃から顕著になっています。こうした状況に「非常に残念ですし、消費者のみなさまにもっと魚に対する理解を深めていただき、もっと魚を食べていただきたい」と力を込めます。
◆魚を食べることは、サステナブルにつながる
日本各地には、さまざまな魚の郷土料理があります。伝統を絶やさぬためにも、水産庁は水産物の消費拡大を呼びかけています。そして、魚を食べることは持続可能、いわゆるサステナブルな消費行動でもあると言えます。
魚などの水産資源は、使うとなくなってしまう鉱物資源や、人が育てなければできない農産物・畜産物とは違い、食物連鎖のなかで、人が手を加えずとも自然の力によって再生産される持続可能な資源です。
さらに、自然の再生産システムのなかで産卵、成長、世代交代がおこなわれていくので、この循環に影響を与えないように適切な量の漁獲と資源管理などをおこなうことにより、永続的に利用できる持続可能な資源と言えます。
また、無闇に獲らなければずっとおいしい魚が食べられるため、国においては「水産資源の調査や評価をおこなって漁獲可能量を設定したり、漁業者においても、自主的に漁の日数の制限などを実施したり、水産資源の維持管理を適切におこなっている」と五十嵐さん。また、養殖業についても、「海洋環境への負担を軽減できる沖合養殖など、持続可能な養殖産業を推進しています」と説明します。
例えば、絶滅の恐れがあるため漁獲量が減っているニホンウナギですが、2050年までには、天然の稚魚に頼らず完全養殖できるように研究が進められています。また、漁船や養殖活動によって排出される温室効果ガスの量は、農業や畜産などと比べて少なく、環境への負荷が小さいそうです。これらの点から、五十嵐さんは「魚を選択して食べることはSDGs(持続可能な開発目標)の目標である『持続可能な消費のパターンの確保』につながり、SDGsの達成に向けた持続可能な消費行動と言える」と強調します。
◆コンセプトは“魚×サステナ”
そこで水産庁は、今年11月から毎月3日~7日を「さかなの日」に制定しました。コンセプトは“魚×サステナ”。特に11月の3日~7日は「さかなの日」を盛り上げるために、「いい(11)さかなの日」と呼んでいくそうです。また「さかなの日」期間中は、コンセプトに賛同したさまざまな企業や団体が、独自のPR活動やキャンペーンをおこなっています。
さらに、水産庁が
「さかなの日」公式サイトを開設。賛同メンバーの活動内容などを紹介しているほか、旬の魚のさばき方や食べ方、市場まつりなどのイベント情報、新商品情報などを消費者に向けて発信しています。
メーカーでもさまざまな取り組みを実施しています。例えば、簡単に調理できるように野菜と魚などにかけるだけでおいしい一品ができるような調味料の開発や、魚介類に特化したお弁当販売やキッチンカーの運営、規格外の魚を使用したミールキットの開発などもおこなわれています。
なお、「さかなの日」のキックオフイベントを11月27日(日)に東京・日比谷公園(「ご当地鍋フェスティバル」会場内)で開催されるイベント「第8回 Fish-1グランプリ(2022年度)」内で実施予定です。
Fish-1グランプリとは、全国の漁協などが選定した漁師が選んだ、本当においしい旬の魚「プライドフィッシュ」を使った料理コンテストや、国産水産物のおいしさを伝えたり、水産物の消費拡大などの水産に関わる取組の情報発信をおこなうために2013年から開催されてきた全国規模のイベントです。
Fish-1グランプリ内で開催される「さかなの日」キックオフイベントでは、魚類学者でタレント・さかなクンによるステージイベントや、賛同メンバーによる「魚に関する出前授業」などを開催予定。子どもたちや子育て世代をはじめ、多くの消費者に魚や魚食への理解を深めていただくためのさまざまなメニューを用意しています。
五十嵐さんは、改めて「今年の11月から、水産庁では毎月3日~7日は『さかなの日』と制定しました。魚を選択して食べることによって、おいしい魚を次の世代にもつないでいただきたいです」と呼びかけました。
今回の話に足立は、「魚を食べることがサステナブルにつながるとは意外でした」と驚きつつ、「“魚×サステナ”がもっと広まって、みんなが魚を食べるようになるとうれしい」とさらなる普及に期待します。
青木は、日本の恵まれた海洋環境に着目。「日本のまわりの海には、約3,700種もの魚がいる。そういった環境の国に、私たちは生きているということをあらためて感じた」と話しました。
(左から)青木源太、足立梨花
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聴取期限 2022年11月14日(月) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:青木源太・足立梨花 Sunday Collection
放送日時:毎週日曜 7:30~7:55
パーソナリティ:青木源太、足立梨花
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/collection/