作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMの音楽番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。7月31日(日)の放送は「村上RADIO ~猫山さんセレクト・猫づくしの音楽~」をお届けしました。
幼い頃から、家にはいつも猫がいたという愛猫家の村上春樹さんが、「村上RADIO」にしばしば登場する猫のキャラクター「猫山さん」がセレクトしたという設定で、「猫」に関連する楽曲を集め、「猫の音楽特集」をお送りしました。
この記事では中盤4曲について話した概要を紹介します。
僕は何度か「京都マラソン」という冬のマラソンレースを走ったことがあります。このレース、いろんな名所旧跡を巡る素敵なコースなんですが、仁和寺(にんなじ)の前では猫又のかっこうをしたお坊さんが声援を送ってくれました。
どうして猫又かっていうと、『徒然草』で猫又に襲われるのが、仁和寺のお坊さんなんです。だから仁和寺で猫又応援をするわけだけど、いつもけっこう励まされます。「おお、猫又が応援してくれるんだ」みたいな感じで。
『徒然草』には「奥山に、猫またといふものありて、人を食ふなると人の言ひけるに……」とありますが、そういうのに襲われたら「なんとかチュール」を撒いてさっさと逃げるしかないですね。猫に喰われちゃたまらないから。
◆The Lovin' Spoonful「Nashville Cats」
次はラヴィン・スプーンフルの「ナッシュヴィル・キャッツ」。この場合のキャットは猫又じゃなくて、ミュージシャンのことですね。テネシー州ナッシュヴィルは音楽の街で、スタジオもたくさんあります。だから当然腕の良いミュージシャンがごろごろいます。そんなナッシュヴィルのミュージシャンたちを称えて、ジョン・セバスチャンがこの曲を作りました。
◆The Kinks「Phenomenal Cat」
1968年に発表されたキンクスの名盤『Village Green Preservation Society』の中の曲です。Phenomenal Cat(フェノメナル・キャット)、驚くべき猫、畏(おそれ)れ多い猫。さて、いったいどんな猫さんなんでしょうね。
◆The Cat「Jimmy Smith」
次は、インストゥルメンタルでいきます。
ジミー・スミスのオルガンで「ザ・キャット」。アラン・ドロンとジェーン・フォンダが共演した、ルネ・クレマン監督の映画「危険がいっぱい」のテーマ曲です。というと、いかにも面白そうなんだけど、僕の記憶では意外になんてことのない映画で、当時、がっかりした記憶があります。でもこのファンキーな音楽はヒットしました。作曲はラロ・シフリン。
ジミー・スミスのオルガンがごきげんにスウィングしますが、その裏でぴしぴしとリズムを刻むケニー・バレルのギターがまた素晴らしいんです。
僕は昔からケニー・バレルのファンでして、アメリカの小さなジャズクラブで彼のトリオを聴いたことがありますが、そりゃもう、悦楽でした。ケニー・バレルの音って、他の誰にもまず出せません。
◆The Rolling Stones「Stray Cat Blues」
ミック・ジャガーとキース・リチャーズの共作「ストレイ・キャット・ブルーズ」。アルバム『ベガーズ・バンケット』に入っています。いかにもストーンズらしいっていうか、かなりワルの入った曲です。
かなりダークな世界ですね。「ストレイキャット・ブルーズ」、子猫ちゃん、大丈夫でしょうかね?
猫山:ニャ~、ニャア~~ニャア~。
<収録中のつぶやき>
ニュートンの猫の出入り口の話、知ってる? ニュートンは猫を飼っていたんです、大きい猫と子猫と。で、ニュートンは猫の出入り口を、大きいのと小さいのを2個作ったんです。みんな驚いてあきれた。だって小さい猫は、大きい戸口をくぐれるじゃない(笑)。天才っていうのは、なにを考えるかわからないよね、ほんと。
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<番組概要>
番組名:村上RADIO ~猫山さんセレクト・猫づくしの音楽~
放送日時:7月31日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/