放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」。10月16日（日）の放送では、“ritokei（リトケイ）”こと「離島経済新聞」編集長の鯨本あつこ（いさもと・あつこ）さんをゲストに迎えて、お届けしました。

（左から）小山薫堂、鯨本あつこさん、宇賀なつみ

日本全国の有人離島に特化した「離島経済新聞」をスタートしたのは、2010年。「新聞というと、速報性のあるニュースを思い浮かべがちですけど、速報性のあるニュースというよりは、たくさんある島の中にある小さくても大事な事柄、持続可能な島の営みを続けていくために必要なヒントを主に集めています」と鯨本さん。

そもそも離島経済新聞社を立ち上げたのは、鯨本さんの知り合いが瀬戸内海に浮かぶ広島県の離島「大崎上島（おおさきかみじま）」に移住し、そこに遊びに行ったことがきっかけでした。

「いろいろと思い返してみると、中学生のときにサマーキャンプで山口県の平郡島（へいぐんとう）に1週間ぐらい滞在したことがあったり、家族旅行で長崎県の壱岐島（いきのしま）に行ったり、若い頃にひとり旅で沖縄県の八重山諸島（やえやましょとう）に行ったりしていました」と語り、島には何かと縁があったそう。

およそ400と言われる有人離島。「400の島があったら、それぞれいろいろな魅力がある」と鯨本さん。例えば、「有名な石垣島や宮古島でしたら、もちろん美しい面もあるんですけど、人口もわりと多くて、それだけ文化もたくさんある。一方で、人口が100人とか10人とかしか住んでいない島もあるんですけど、そういうところだと、都市にあるものは一切ないんです。お店すらない。けれども、そういったところには特有の時間の流れがあって、何もないから島の人たちは買うものよりも、自分で作るもののほうが多い。そういうクリエイティブな方が多いなど多様な魅力がある」と力説します。

“日本唯一の有人離島専門フリーペーパー”と謳う「離島経済新聞」で扱っているのは、「観光情報ではなく、どちらかというと地域づくりの話題が多い」と鯨本さん。現在、同紙を設置している場所は1,200ヵ所弱で「そのうちの8割は島なんですよ。170島以上に置かれています。なので島の方と島を訪れた方が手に取って読んでくださっています」と話します。

小山から「島で一番好きな時間帯はいつですか？」と聞かれ、鯨本さんは「島の方とお酒を飲んでいる時間なので（笑）、夜ですかね」と笑顔をのぞかせ「人と人のつながりや支え合いがあるっていうことが根本にあって、実際にお金だけでは得られないものがたくさんあるわけです。それが島には残っている。それって結局は、人と人がコミュニケーションすることによって生まれるものなので、（旅で訪れた）自分たちがそれに触れ合える瞬間って、夕飯の時間だったりするんですよね。だからその時間帯が一番好きですね」と語ります。

ritokei（リトケイ）こと「離島経済新聞」

また、“手紙”がテーマの当番組にちなんで、手紙にまつわるトークも。これまで受け取った手紙のなかで印象に残っている手紙について、「『離島経済新聞』を始めた頃に、“これ、誰が読むんだろう？”って作り終わったったときに思って（苦笑）。誰もやっていないメディアだし、最初に立ち上げるときにたまたま出会った島の方に『島ってすごくいいところがたくさんあるんだけど、なかなか知ってもらえないんだよね』という話を聞いたのがきっかけで作ったんですけど、“誰が読むんだ？”って思っていたときに、島にUターンして自分で地域おこしを頑張っていらっしゃる方からいただいたお便りが、ものすごく印象的でした」と振り返ります。

そうした手紙を目にして「（読者が）実際にたくさんいることを初めて知りましたし、その方は、自分の（故郷の）島で頑張っているんですけど、私は全国の島の情報を集めようとしているから、『それに対して喜んでいる』ということを書いてくださったんですね。島に住んでいる方と私は、少し違う立場ではあるんですけど、仲間というか、そういう方がいるんだなということを知って非常に勇気をもらいました。そういう島の方々に対して、この新聞も毎号毎号、お手紙のような形で作っているような気もしますね」としみじみと語りました。

次回10月23日（日）の放送も、どうぞお楽しみに！

＜番組概要＞
番組名：日本郵便 SUNDAY’S POST
放送日時：毎週日曜 15:00～15:50
パーソナリティ：小山薫堂、宇賀なつみ
番組Webサイト：https://www.tfm.co.jp/post/