UoC UNIVERSITY of CREATIVITY(UoC)の近藤ヒデノリ(Hide)と平井美紗(Misa)がお届けするinterfmの番組「UoC Mandala Radio」。クリエイターに“ワクワクする社会創造の「種」を聞く”というテーマで、毎回さまざまな領域で社会創造をおこなっているゲストを招き、未来に向けた創造やアクションについて語らいます。
8月3日(水)の放送では画家・作家の大宮エリーさんがゲストに登場。「エリー学園」で教えていること、創造性を生み出すために大切なものについて語ってくれました。

(左から)Misa、大宮エリーさん、Hide
広告代理店勤務を経て、2006年に独立。作家、脚本家、映画監督、CMプランナー、ラジオMC、画家とマルチに活躍中です。2020年には、想像力を鍛えるオンラインスクール「エリー学園」を開講しました。
◆小さな夢を集めて“豊かさ”を生み出す
Misa:大宮エリーさんといえば、新しいことや枠にはまらないことなど、たくさんされてきた方ですけど、新しいことに挑戦するのって失敗が怖かったりするじゃないですか。普段からどういうお考えで、さまざまな媒体と向き合ってきたのかを教えていただけますか?
大宮:最初は広告の仕事をしていて、会社を辞めてから初めていただいた仕事のジャンルがそれまでやってきたことと違ったんですね。「これはできないな」って思ったんですけど、「やってみたら?」といわれて、思い切って飛び込んでみたって感じなんですよ。
私は夢がないというか、映画監督になりたい、脚本家になりたいみたいな、「こういうのになりたい!」っていうのがなかったんですよ。それが結構コンプレックスでした。普通、人って何かしらの夢を持っているものじゃないですか。夢があるとそこに向かって走っていくでしょう? 夢がないから迷いまくっていました。それがすごくつらくて。実は今も夢ってないんですけどね。
Misa:そうなんですか!?
大宮:「こんなことも夢になるんだな」ってことは見つけてはいけると思っています。小さな夢を見つけるというか。私のしている想像力を鍛えるオンラインスクール「エリー学園」っていうのは大人向けなんですけど、「こどもエリー学園」は小1から中3が対象で。
Hide:子ども向けもあるんですね!
大宮:ちょっとカリキュラムが違うんですけど。
Hide:「エリー学園」のことを耳にして、ちょっとUoCと繋がりがあるなって感じていて、お話を聞きたいなと思っていたんですよ。
大宮:「エリー学園」ではみんなに夢を話してもらうんですね。「夢はないよ」ってみんな言うんですけど、小さいものでもいいからどんどん書き出していく形にしてみたら、みんなの小さな夢につられて「こういう夢もいいな」って、夢が増殖していったんですよね。
Misa:おお!
大宮:すごく楽しかったんですよ。みんなの夢に便乗して、「いつかあのレストランで思いきりシャンパンを飲んでみたい」とか。些細なことかもしれないけど、それって小気味いいなって思ったりして。
Hide:うんうん。
大宮:大きな夢じゃなくてもいいんですよ。小さい夢をたくさん持っていることは、意外と豊かなことかもしれない。そんな遊びをしています。
◆人の心に寄り添うクリエイティブなことがしたい
大宮:私は元々クリエイティブ畑じゃなくて、薬学部出身だからコンプレックスがあったんですよ。
Misa:経歴をみて驚いたことがあります。
大宮:それはそれで苦労したことも多かったんですけど、長く生きていると面白いもので、辻褄が合うんですよね。
そもそも私は“人を治す”ことがしたかったんだけど、動物実験がどうしてもできなくて。研究者になるという夢がやぶれちゃったんです。でもこの前、鳥取大学医学部附属病院の院長先生に頼まれて、巨大な壁画を患者さんのために描いたんです。それってアートだけど“メディスン”じゃないですか。
Misa:そうですね。
大宮:患者さんたちから「私は外に出られないけど絵から風を感じるよ」みたいなことを言われちゃって。そもそも私はこういうことをやりたかったわけで、いろんなことをやっているようでいて、実は私がやっていることって1個なんですね。マスなことや、メジャーなことよりも、少し疲れた人や、会社や学校に行きたくない人、コンプレックスがある人に寄り添えるようなクリエイティブをしたいなってことはずっと思っていました。そういう意味ではまだまだ道半ばですが、一貫しているなと思います。
◆「エリー学園」創設を振り返る
Hide:「エリー学園」を立ち上げるきっかけはなんだったんですか?
大宮:10年程前に京都の大学生に講義をする機会があって、「三十三間堂が好きなんですよね」って言ったら、みんなが知らなかったんですね。だから急遽、教えるよりも先にみんなで三十三間堂を観に行くことにしたんですよ。
Hide:仏像がずらっと並んでいてすごいところですよね。
大宮:観に行ってから学生に感想を聞いたら、「すごかったです」の一言だけ。「私がみんなの拝観料を払ったんだから、拝観料分のコメントをください」って言ったんですけど(笑い)。それでも“シーーン”って感じだったので、「何が今、心に残っていますか?」って聞いたら、「目です」って言うから理由を聞いたんですけど、「ちょっとわからないです」って言われてしまいまして。
Hide:ああ~(笑い)。
大宮:じゃあ「目はどのように(心に)残っていますか?」って聞いてみたんです。Whatの次はHow。「怖い」って言うから、「目が怖いのはなぜ?」って聞いたら、「人と目を合わせて話すのが苦手なのに、1,000体ぐらいの仏像から見られて怖かったです」って返ってきたんです。
Misa:おお!
大宮:「それそれ! 素晴らしい!」って。すごく感じるものはあるんだけど、自分の気持ちを言語化するのが意外と苦手なのかも、って思ったんですよね。これを学校教育としてやったほうがいいんじゃないのかなって思ってたんですけど、ありがたいことにアートの仕事で忙しくなっちゃって。
その後、2年ぐらい前にラジオで京都での出来事を話したら、リスナーの中にシステム会社の方がいたんですね。「オンラインでできるから学校をやりませんか?」と言われて、学校をやる準備が整っちゃったんです。
私が「これまでいろんなことに関わることが出来たのはどうしてだろう」って考えたときに、ベースにあるクリエイティブ力があったのかもって思ったんですね。(クリエイティブの)体幹、それをクリエイティブマッスルと呼んでいるんですけど、それを一緒に鍛えるお手伝いはできるかもって思ったんですよ。
◆思いやりの気持ちが創造性を育む
大宮:私はみんなに才能があると思っているから、子どもたちに「答えは1個じゃないからね」って話しています。答えが1個の世界も大事だけど、全部が正解の世界もあるってことを教えたいんです。他の子の答えも聞いて「それもアリだね」って議論できる時間を作っています。
Misa:それってすごく大事だと思います。では最後に、番組恒例の質問を。エリーさんにとってワクワクする社会創造のタネは何ですか?
大宮:思いやりですかね。創造力ってイマジネーションとクリエイションの2つがあるじゃないですか?イマジネーションって結局相手の気持ちを想像することですし、それってとても大事ですよね。お母さんが料理を作ってくれたときに“愛”を想像するみたいなのがクリエイティブだと思うんですよね。
Misa:私も同じ考えです。ありがとうございます!
次回8月10日(水)は、UoCのプログラムディレクター、波戸祐輔さんがゲストに登場します。お楽しみに!
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聴取期限 2022年8月11(木)AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:UoC Mandala Radio
放送日時:毎週水曜23:00-23:30
パーソナリティ:近藤ヒデノリ(Hide)、平井美紗(Misa)
番組Webサイト:
hhttps://www.interfm.co.jp/mandala