笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「DIGITAL VORN Future Pix」。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。8月20日(土)の放送は、アーティストの草野絵美(くさの・えみ)さんをゲストに迎え、お届けしました。
(左から)笹川友里、草野絵美さん
1990年生まれ、東京都出身の草野さん。慶應義塾大学 環境情報学部卒業後、歌謡エレクトロユニット「Satellite Young」を主宰。2017年には世界最大の音楽フェス「SXSW」に出演。自身が立ち上げたNFTプロジェクト「新星ギャルバース」では、取引総額世界一を記録。現在は、草野さんの長男でもあるNFTアーティスト・Zombie Zoo Keeper(ゾンビ・ズー・キーパー)のマネージャー兼クリエイティブディレクションをつとめるほか、東京藝術大学非常勤講師、株式会社Fictioneraの代表もつとめています。
◆新星ギャルバースで一躍“時の人”に!
「Shinsei Galverse(新星ギャルバース)」とは、昭和の少女マンガ調の全8,888体のギャルをデザインしたNFT(非代替性トークン)コレクションです。2022年4月14日(木)にリリースするやいなや即座に完売。NFTのオンラインマーケットプレイス「OpenSea(オープンシ―)」の24時間ランキングで世界1位を獲得し、大きな話題となりました。
ローンチするまでは「すべてが手探りだった」と草野さん。「まだ方法論として確立していないなかで“どのようにNFTを売っていくか”ということを模索していたので、自分でも訳がわからないままTwitterのスペース(Twitter上で音声の会話ができる機能)で海外に向けて、ギャルバースの話を英語で100回ぐらい話したかな(笑)。それをやり続けているうちに自分の英語力も上がったし、ギャルバースについて届けたいメッセージも次第に磨かれていった」と振り返ります。
新星ギャルバースの立ち上げメンバーは、オーストラリア人2名と80年代&90年代のアニメを彷彿とさせる、ノスタルジックな作風を得意とする大平彩華(おおひら・あやか)さん、そして草野さんの4人。
傍から見ると順風満帆で「80年代&90年代のみんなが好きなテイスト(作風)で、すごく上手にマーケティングできてるね」と周りから言われることもあるそうですが、草野さんは「アーティストが一番好きなものを愛情込めて作っているからこそ、多くの人の心を惹きつけたのだと思う」と分析。加えて、「オーセンティシティ(真正性)があったのと、(ローンチする)タイミングもすごくよかった」と言います。
トレンドが目まぐるしく入れ替わるNFT業界において、「日本のアニメがモチーフの作品がすごく多かったけど、実は、日本人が手がけたものがないことにみんな気づき始めて“日本人のクリエイターはどこ?”とざわついていた時期でもあった。そこで新星ギャルバースが現れたのも(タイミング的に)良かったし、アニメ調のNFTのなかでも、女性目線で“カッコイイ!”と思えるようなものが、それまであまりなかったので、多くのNFTインフルエンサーに気に入っていただけたのも、すごく大きかった」と振り返ります。
◆NFTに足を踏み入れたきっかけ
草野さんがNFTのことを知ったのは昨年の2~3月頃。当時流行っていた音声SNSアプリ「Clubhouse(クラブハウス)」でのやり取りがきっかけでした。「仮想通貨界隈の人とアート界隈の人がなぜか議論をしていて、“決して交わらなさそうな2つの界隈の人たちが、なぜ(トークしているのか)?”みたいなところから(興味が湧き)、NFTについて勉強するようになった」と言います。そして、勉強しながらたびたび食卓でNFTについて話をしていたところ、当時8歳だった長男が「僕も(NFTを)やってみたい!」と興味を示したそう。
というのも、長男は当時ポケモンカードゲームにハマっていて、カードを買うおこづかい欲しさから、フリマアプリ「メルカリ」で不用品を売ったり、アイロンビーズを作ってハンドメイドマーケット「minne(ミンネ)」で売ったりしていたのですが、思うように売れなくて次なる一手を考えていたそう。
そこでNFTの話を聞き、さっそく動物をゾンビ化したドット絵のNFTアートを販売したところ、著名なDJが購入したことで多くの人の目に留まり、たちまち話題に! 高値で取引され、さまざまなメディアで取り上げられました。
◆NFTにハマる人の性格
草野さんいわく「NFTでは、器用貧乏だった人がけっこう活躍している」と言います。多角的に取り組むのが好きな人がNFTに集まってきていて、「そもそもNFTは、1つの価値観だけで解くことは不可解でしかないんです。従来にはなかった異なる価値観の人たちが集合することで、いま新しい形態をつくり上げているので、1つの分野に特化したプロフェッショナルのような人だと、あまりハマらないかも」と持論を展開。
また、草野さんがミュージシャンとして活動していた頃は「音を手がけるプロデューサー、ミュージックビデオを手がけてくれる映像監督やカメラマン、ヘアメイク、ステージでのパフォーマンス、物販グッズをどう売るかなど(すべてに携わり)、多角的に動いて世界観をつくることが大好きだったので、その経験がNFTにすごくマッチした。テクノロジーが得意な人、絵が得意な人と一緒に世界観をつくっていって、ストーリーを紡いでいくところが(今の活動に)すごく活きているし、ようやく私の時代が来た! って感じですね」と語りました。
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8月6日(土)から夏の特集企画として、Web3に取り組む起業家、アーティスト、街づくりの実践者らに直接インタビューをする「Web3のフロントランナーに聞く」を開催。笹川友里とゲストの他に、経済コンテンツメディア「PIVOT」チーフ・グローバルエディターの竹下隆一郎が加わり、収録では聴き足りなかったこと、より深掘りしたかったことを追加で質問。そのトークの模様をPIVOTのアプリや公式YouTubeで配信しています。
次回8月27日(土)の放送は、スタートバーン株式会社 代表取締役の施井泰平(しい・たいへい)さんをゲストに迎えてお届けします。スタートバーンの事業内容や取り組み、ブロックチェーンのアート界における可能性についてなど、貴重な話が聴けるかも!? どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年8月28日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/