モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。11月17日(木)の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「異例づくめのG20バリ・サミット」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。
(左から)吉田明世、塚越健司さん、ユージ
ロシアによるウクライナ侵攻以来、初めて主要な先進国・新興国の首脳が一堂に会した「G20(金融・世界経済に関する首脳会合)バリ・サミット」が、インドネシアのバリ島で11月17日(木)に閉幕しました。15日(火)にポーランド東部にミサイルが着弾した件で、急遽、「G7」と「NATO」の緊急会合が開かれるなど、異例づくめの「G20サミット」となりました。
ユージ:塚越さん、“穏やかに……”とはいかなかったですよね?
塚越:バイデン大統領(アメリカ)も習近平主席(中国)も出席する大きい会議で、この20カ国が世界のGDP(国内総生産)の8割を占めるということで、世界中の注目が集まる会議です。
しかし、ロシアのプーチン大統領は欠席して、代わりに(ロシアの)ラブロフ外相が出席しました。ただ、ロシアが参加するということで、恒例の写真撮影をアメリカが拒否するといった波乱の幕開けになっています。
さらに、そのラブロフ外相が到着後に心臓の病気で病院に搬送されたとAP通信が報道したのですが、ラブロフ外相は次の日すぐに「フェイクニュースだ!」と言って元気な姿をSNSにアップしています。
インドネシア政府関係者によりますと、「不整脈のために病院に行っただけ」ということでしたが、こういうところから見ても、さまざまな情報が飛び交う状況だったのかなとも思います。
さらに、いろいろな報道があったように、ウクライナの隣のポーランドにミサイルが落下して2名が亡くなるというニュースもありました。もし、ロシアからの攻撃だとすると、ポーランドはNATO加盟国ですので、つまり、アメリカも含めて報復になるということで、一時は本当に世界大戦になるのでは、と緊張が高まりましたが、バイデン大統領はすぐに、確かなことは言えないとしながらも、「ロシアから発射されたとは考えにくい」と述べまして、今のところ大きな事態には至っていない、ということです。
今後も調査が続きますが、慎重な行動をしないと大事に至ることもあるので、今後も注意が必要かなという感じです。
ユージ:そんな中、懸案されていた「首脳宣言」は採択されました。これは、どう感じられましたか?
塚越:まず、今回のポイントは「首脳宣言が出るかどうか?」でした。結果は、事前に考えられていた草稿と同じものでした。ロシアがどれだけ折れるのか? 折れないのか? ということが話題になっていたわけですが、この首脳宣言では、ロシアを非難する一方で、ロシアへの経済制裁に加わっていない中国やインドなど一部の国は、「異なる見解や評価があった」と一定の配慮をするもので、ロシアとしても、自分たちの立場を一定程度宣言に盛り込むことで了承しました。
もう1つ気になるのは「米中の対立」です。習近平主席は、ロシアには直接触れずに「アメリカはイデオロギーで世界を分断している」と批判していました。要するにアメリカを牽制し、自分の立場を表明しているわけですが、「いや~中国もどうなんだ……?」と思うところはありますが、各国いろいろな言いたいことを言っているという。また、ラブロフ外相は、中国の王毅外相とも会談して、両国の親密な関係をアピールしたという感じです。
吉田:日本の岸田文雄首相は、G20で何を語ったのでしょうか?
塚越:「ロシアへの非難」は欧米と足並みを揃えて述べる一方で、「国際保健」をテーマにしたセッションで岸田首相は、「途上国支援や国際社会が世界的な医療体制を構築するために“日本が主導する”」と述べています。
岸田首相は、来年日本で開催される「G7広島サミット」でも「国際保健」の分野を議題の1つに位置づけていまして、対策の議論を進める予定です。岸田首相は、来年のG7の開催がとにかく重要なんです。
というのも、岸田首相自身は東京生まれ・東京育ちですが、岸田家が広島出身で岸田首相の選挙区も広島ということで、ずっと「広島出身」とおっしゃっているわけですよね。その広島で来年開催されるということで、とにかく気合が入っているんです。
特にG20の首脳宣言では、「核兵器の威嚇、使用は受け入れられない」ということが盛り込まれましたが、日本は、それについて強く働きかけましたと言っています。
ユージ:塚越さんが気になった点は何かありますか?
塚越:G20でいろいろありましたが、個人的に気になるのは「インド」です。インドという国は、ロシアへの経済制裁に参加していない、そして、ディスカウント価格でロシアからの石油を輸入して経済的に成長しています。ロシアは石油を売るところがなかったので、インドが買ってくれたということです。
ユージ:安い値段だけど買ってくれたということで、ロシアもインドも助かっていたということですよね。
塚越:そうです。ただ、報道によりますと、それでもインドは、ロシアからやや距離を取ろうとしているということも言われています。9月にプーチン、(インドの)モディ首相の会談でも停戦を勧めたということです。インドは動きが非常に上手で、ロシアと欧米の両極の間にいるのですが、これから“経済のプレイヤー”になるインドの動向もチェックかなと思います。
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<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月曜~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/one/