モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「ONE MORNING」。9月1日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「消費者庁、霊感商法対策の検討会スタート」。学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。
吉田明世、塚越健司さん、ユージ
霊感商法などの対策を話し合う政府の有識者検討会が、8月29日(月)に初めておこなわれました。この検討会には、「世界平和統一家庭連合(=旧統一教会)」の問題に取り組んできた紀藤正樹弁護士など8人が出席。今後、被害の未然防止や被害回復のあり方について提言をまとめます。
岸田文雄首相は8月31日(水)の記者会見で、教団と閣僚らの接点が相次いで発覚している状況について、「総裁として率直にお詫びする」と陳謝した上で、「政府を挙げて霊感商法などの被害者の救済に全力で取り組む」と述べています。
◆霊感商法の被害件数は?
ユージ:霊感商法の被害は、全体的に増えているのでしょうか?
塚越:全国の「消費生活センター」などに寄せられた「霊感商法」に関する相談は、ここ5年ほどは年間1,200件~1,500件で推移しています。10年前には3,000件ほどありましたので、その頃と比べると減ってはいますが、1,000件以上が横ばいの状況ということで、まだまだ多いと思います。
また、2021年度の相談でいうと、平均契約額は110万円ですが、100万円以上~1億円未満の高額被害は28%ということで、被害額が非常に高額になっています。また、年代別では70代以上の高齢者、特に女性の相談が多いということです。
◆消費者庁の霊感商法検討会…その内容は?
塚越:まず、背景を説明します。先ほど話に出た「消費生活センター」は、地方公共団体が設置する行政機関です。それ以外にも民間の「全国霊感商法対策弁護士連絡会」など、旧統一教会の元信者などを支援する団体にも相談が増えており、昨今の「旧統一教会問題」で霊感商法について注目が集まったので、消費者庁が対策検討会を新たに設置したという形です。
内容としては、過去に寄せられた相談に、消費者庁がどのような対応したか、ということを検討して、今後の被害者の救済・対応・対策を専門委員が話し合う場所になっています。
メンバーは、連日メディアに出演している紀藤正樹弁護士のほか、カルト問題に詳しい立正大学の西田公昭教授など8人です。検討会は毎週オンラインでおこなって、原則、公開されるということです。
◆第1回目の検討会で話し合われた内容は?
塚越:議論されたのは、「契約問題」と同時に「信者の寄付・献金の問題」です。どういうことかと言いますと、まず、「このままだと災いが起きる」などと、合理的に説明できない内容で恐怖心を煽って、高額な物品を買わせる。これを「霊感商法」といいます。
この「霊感商法」に関しては、宗教法人などは最長5年前までさかのぼって契約解除できる「消費者契約法」があります。このような契約問題については、それで対応しようという話にはなっています。
ただ、昨今は“壺を買う”など物品販売の「契約問題」ではなく、信者による“寄付(=献金)”が、より大きな問題となっています。寄付は基本的に贈与になるので、消費者が物を買ったかどうか、それが“契約”かどうかがなかなか分かりづらいので、ケースとして扱いが難しいんですよね。
ユージ:物を対価にお金を支払うわけじゃないですからね。
塚越:そうなんですよね。なので、この点に関しては、単純に法的なことではなく、「信教の自由」との関係も考慮し、宗教の問題を考えながら、寄付や献金も“契約”として、例えば「『災いに対する駆除のために金銭的な契約をしたんだ』というふうに、契約として扱えないか?」という意見も出ました。
また、「寄付や献金のお金も戻ってくるようにする法的な枠組みが必要だ」という声もありました。あとは、踏み込んだ意見としては、消費者問題の延長で「違反を繰り返す団体には、解散命令を出せないか?」という意見もありました。
ユージ:ほかにはどうでしょうか? 塚越さんが気になった点はありましたか?
塚越:先日の内閣改造で、消費者担当大臣となった河野太郎氏の動きで、今回の検討会は、すぐに開催したということで、この辺はスピーディーで歓迎されるべきかなと思います。
一部の報道だと、この対策検討会は、河野大臣が岸田総理に相談しないで、すぐに決めてしまったという報道もありました。これが事実だとすれば、河野大臣が独自に切り込んでいる印象があります。
また、オンラインで公開され、紀藤弁護士など注目度が高い方が多いので、国民の反応によっては、この検討会自体が大きな影響力を持つのでは、とも思いますね。
ユージ:「霊感商法の問題」は正直、昔から言われていますよね?
塚越:そうなんですよね。被害対策をおこなってきた委員からは、「1980年代からずっと霊感商法が社会問題化されていたのに、対応が遅いじゃないか!」という指摘もありました。
また、この検討会で議論しても、結局、省庁間で連携がうまく取れなくて、うやむやになってしまっては困るので、「連携ができないなら、首相直結の大臣を置いてほしい」といった声もあるくらいです。
政府としても、「旧統一教会問題」で支持率が急落しているので、何とかしようという意図はあるのですが、逆に、そういう意味で岸田総理の本気度が問われるわけですよね。けれども、問題が明るみになればなるほど、自民党の政治家との関係もさらに問われるので、それらも踏まえて、岸田総理、あるいは河野大臣も含めて、どこまで自民党が切り込めるか、政権が切り込めるのか、というところが注目されるので、検討会も含めて国民全体で注目する必要があるかなと思います。
<今日のユジコメ>
霊感商法自体は決して新しいものではなくて、1980年代から社会問題化されていました。きっかけがあったから検討会をスタートしたのですが、もしきっかけがなかったら、このままズルズルいっていたんじゃないか、ということも含めて、改めて(宗教団体との)付き合いや対処の仕方を見直すべきだと思いました。
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番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月~金曜6:00~9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト
https://www.tfm.co.jp/one/