川瀬良子がパーソナリティをつとめ、日本の農業を応援するTOKYO FMの番組「あぐりずむ」。毎週火曜は、農業はもちろん、時代の先を見捉えるさまざまな研究をおこなっている東京農業大学から、最先端の農学研究を紹介します。11月1日(火)と11月8日(火)の放送では、世田谷キャンパスのすぐそばにある「東京農業大学『食と農』の博物館」に着目。東京農業大学・学術情報課程の木村李花子(きむら・りかこ)教授に、大学が博物館を持つ意味や同館の見どころなどについて伺いました。
(左から)木村李花子教授、川瀬良子
◆大学が博物館を持つ意味とは?
同館について、「ここはキャンパスを飛び出した博物館ということで、いろいろな資料の保存・展示もしていますが、社会のみなさんに東京農大でやっていることを知っていただく最前線の場として存在している」と木村教授。また、一般の来場者もとても多いことから「地域の方とどうやって連携していくかということも同時に考えなければならない使命もある」と語ります。
川瀬がその理由を聞くと、「我々のやっている研究は、社会の中に置かれないと面白くない、学会のなかだけで完結してしまってはもったいない」と説明します。
そのためにも、博物館を利用して多くの方に研究を知ってもらうことで、「“研究室の研究”にとどまらず、博物館を通すことで広範な視点をとり戻し、生命を丸ごと捉え直すようなこともできる。とても挑戦的な場でもあると思っています。その辺が面白いですよね」と声を大にします。
また同館では農家の古民家が再現し、約3,600点もの古農機具を所蔵しており、「一点もののような農具がたくさんあるんです。美術品のような美しさもあるので、自由な視点で楽しんでもらえれば」と語ります。
◆農業と密接に関わってきた「馬」
日本の農業と密接に関わってきたのが「馬」です。かつては馬を使って田畑を耕す「馬耕(ばこう)」もおこなわれていましたが、明治以降に去勢技術が広まり出したためで、それ以前は「馬の取り扱いは下手だった」と木村教授。
そのため、馬耕教師が全国をまわり馬耕の指導をしていた時代もあるなど、とても大変だったそう。そして、馬は馬耕だけでなく、田畑で採れた農作物などの運搬でも重宝されていました。
また日本には、地域によって農耕用や荷物の運搬用などのために飼養されてきた「日本在来馬」と呼ばれる馬がいて、北海道和種馬(ほっかいどうわしゅば)や宮崎県の御崎馬(みさきうま)、沖縄県の与那国馬(よなぐにうま)など8馬種います。
木村教授は「この馬たちは“文化財級”。だけれども、ただ保存していくだけではなく、うまく利用していきたい」と話します。実際にトレッキングホースだったり、馬糞を利用したり、地域によってはレスキューに結びつけようとしている実例にも触れつつ「もちろん動物学的な観察対象としても面白いところもので、まずは日本の在来馬をもっと大切にしていきたい」と声を大にします。
木村教授によると、日本在来馬を守り、継承していくための保存協会が存在するものの「やっぱり使い道がないと、結局は減っていってしまう」と案じますが、日本在来馬を保存していくための方法は「まだまだ考えられると思う。逆に“積極的に馬肉として食べる”ということだって1つの選択肢かもしれないと思っています」と見解を述べました。
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「東京農業大学『食と農』の博物館」では、現在「荒川 弘〈百姓貴族〉× TOKYO NODAI 2022」を開催中(2023年3月4日(土)まで)。漫画家・荒川 弘先生が描いたマンガのパネルや秘蔵コレクションのほか、各テーマに沿った同大学教員による解説パネルが数多く展示されています。
この見どころについて、木村教授は「荒川先生のマンガは“農業の喜怒哀楽”そのものを全面的に感じられるものになっています。農学と喜怒哀楽たっぷりの農業が、ここで合体して“リアルな農業”を見せてくれる。そんな空間になっているのではと思います」と紹介しました。
※荒川先生の秘蔵コレクションは、12月までを前期、2023年1~3月を後期として展示替えをおこないます。
次回11月15日(火)の放送も、どうぞお楽しみに!
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聴取期限 2022年11月16日(水) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:あぐりずむ
放送日時:毎週月曜~木曜 15:50~16:00
パーソナリティ:川瀬良子
番組Webサイト:
https://www.tfm.co.jp/agrizm/